「Loser's Parade」

for さえない日々

なななのか

―なんか忙しいみたいだけど。
「そうなんですよ。仕事がちょっとねー。うちの部署の人数が減っちゃって、途端にいろいろトラブルが起こってて…。」
―ふーん。サケロックのラストライブが終わってもうだいぶ経つけど、どうなの?
「なんか、忙しいお陰なのかどうかわからないんですけど、喪失感というのは幸いなくて。そういうのを考えるような余裕がなかったからなのかもしれませんけど。」
―まあ、もともと最近活動してなかったしな。
「それも幸いしてるかもしれませんね。活動していないことに慣れていたっていうか。最近はサケロックのことを知らない人が多かったでしょうし。」
―もはやソロ活動って言い方に違和感を感じるくらい、それぞれが活躍してるもんな。
「うーん、オレはずっとソロ活動って感じで見続けてたからやっぱり寂しいんですけどね…。」
―でも、喪失感は特にないんじゃないの?
「まあ…そうなんですけど、やっぱりふと感じる時があるんですよね。みんなが次のステップを踏み出しているのが明らかに伝わってくるんで。だから、実はオレ、まだ星野リーダーが出演したこの前のミュージックステーションの録画、見れてないんですよね。」
―え!そうなの?めちゃくちゃ引きずってるじゃん!
「そうなんすかね…」
―ライブ、どうだった?
「いやー、泣いて笑って、最高のライブでしたね。」
―なんか、花を出したらしいじゃない。
「あ、そうなんですよ。Twitterで募集したら、結果的に133人も賛同してくれて。」

―すごいなそれ…。
「ホント、ビックリしましたよ。一人1,000円くらい募ったから、一気に10万円以上のお金が動いて…。いろんな人が協力してくれたお陰で特別な花が出せました。あと、お酒も送ってたんですよ。」
―お酒?
「鏡開き用の。やっぱり、“サケ”ですから。」

―そんなこともやってたのか…。
「完全に自己満足ですけどね。でも、たくさんの人に賛同してもらえて、本当に嬉しかったです。」
―んじゃ、そろそろ、どう?
「え?」
―ライブのこと。そろそろ書いてみたら?
「そうですね。さすがにこれ以上日が経っちゃうとどんどん書けなくなっちゃいそうですから。」



6月2日から数えると、7月20日の今日は七七日でした。
あの世の行き先が決まっただろうから、これから徐々にサケロックのことを振り返っていこうと思います。

受け入れる覚悟と続いていく生活

明日はついにSAKEROCKのラストライブ。ここに至るまでに、「SAYONARA」を聴きこむのはもちろん、

昔の映像を振り返ってみたり、

懐かしの「ラジカク」SAKEROCK DJ CREW出演回を聴きかえしてみたり(「songs of instrumental」リリース付近)。


振り返ってみて改めて強く思うのは、本当に自分にとっての「青春」だったなってこと。それは、きっとメンバーにとってもそうだと思っていて。今、このころのテンションでいろんなことができるのか?ってことを考えてしまうと、やっぱりそれは難しくて。みんなそれぞれの道が開けて、大人になったんだなってのを、振り返ってみたからこそわかることがあって。


なんてうじうじうじうじ考えてるんですけど、もう明日です。それらを受け入れなきゃいけないし、その後も我々の生活は続く。ちなみに、明日のライブはYOUTUBEで生放送されるそうなので、会場に来れない方、まだサケロックを知らない方はぜひ、最後の彼らの勇姿を見届けるべき。間違いなく、日本の音楽史に残るバンドのラストライブなんですから。


あー!嫌だなー!!

SAYONARAの季節は季節外れの雪が降る

SAKEROCKのラストアルバム「SAYONARA」が発売された日、東京は4月でお花見シーズンも過ぎた頃だというのに季節外れの雪が降りました。

SAYONARA
SAYONARASAKEROCK

カクバリズム 2015-04-07
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発売日前日、店頭到着日にアルバムを買いに行きました。フラゲ特有のワクワク感とは違う、とっても複雑な気分。



アルバムを聴いた率直な感想は、なんだかあっさりしてるなってことでした。10曲で約36分。「ホニャララ」も全部で約39分だったけど、なんかすごくあっさりと聴けた。なんでだろう。オリジナルメンバー集結で作られたラストアルバムということでこっちは完全に身構えていたのかもしれない。それを、するりとすり抜けるように、肩の力なんか抜けきって作られたように感じた。
なるほどなあって思って、改めて公開された『SAYONARA』のミュージックビデオを見返してみた。アルバムを聴く前に我慢できずについつい一度見てしまっていたのだけど、改めて見てみた。



するとどうだろう。アルバムを聴く前と聴いた後で、完全に違って見えた。そして、すっと「ああ、このアルバムで解散するんだな」ってようやく理解し始めることができた。このPVは、「SAYONARA」というアルバムを全部聞き終え、エンドロールとして見るものだった。
5人で演奏している姿。おそろいの白スーツ(初お披露目はフジロックで、「songs of instrumental」のジャケでもあるし、「SAKEROCKの季節」のジャケでもある)を着ているのだけど、星野リーダーの「歌」が始まってからみんなが別々の服になって…っていう構成が、お互い別々の道を歩んでいく姿がすごく表れていて、とっても切なくなった。特に、最後のハマケンのあの表情たるや。3分38秒に一瞬映るハマケンのあの、なんだかすべてを悟ったかのような表情に泣かされた。


アルバム全体の感想は、まだなんだかうまく書けない。いろんなところで聴いたり、いろんな時間に聴いて、もっと消化していきます。

「SAYONARA」はJapanese Farewell Song

SAKEROCKの「SAYONARA」というラストアルバムの名前は、マーティン・デニーの曲名から取られている。これは、先日配布されたタワーレコードのフリーマガジン「bounce」377号のインタビュー記事で星野リーダーが語っていたもの。「マーティン・デニーの曲名から取ったSAKEROCKが、マーティン・デニーの曲名から引用したSAYONARAというタイトルのアルバムをもって解散するっていうオチがついた」というが、まさにそのとおりだ。
ちなみにこれが、マーティン・デニーによる「Japanese Farewell Song(SAYONARA)」。


実はこの曲、元はインストではなく、歌詞もちゃんとある曲。そしてそれを、細野晴臣がカバーしている。収録されているのは「泰安洋行」。SAKEROCKの『慰安旅行』の曲名元ネタと噂されるものであり、今度出版される星野源細野晴臣の対談集「地平線の相談」の表紙元ネタにもなっている。
泰安洋行(紙ジャケット仕様)
泰安洋行(紙ジャケット仕様)
地平線の相談
地平線の相談
(なお「地平線の相談」というタイトルの元ネタは、細野さんが1979年に出版した「地平線の階段」。引用だらけ!)
そしてこれは、ティン・パン・アレイでの演奏による「“Sayonara”,The Japanese Farewell Song」。

大元をたどれば、どうやら1950年代の曲で、後にハリウッド映画「Sayonara」に使用されたものらしい(そのあたりの分析はこちらのサイトに非常に詳しく説明されております)。
というわけで、起源はこれ。

それをマーティン・デニーだけではなくサム・クックがカバーしていたり、

矢野顕子も「LOVE LIFE」でカバーしている(映像はなかったけどiTunesで視聴できる)。


いろいろ予備知識ばっかり並べてきたけど、とりあえず言いたいことは、マーティン・デニーだけを回収しただけではなく、SAKEROCK結成のルーツともなる細野晴臣をも回収しているあたりが、なんともニクいと思ったのでした。ちなみにこの曲、イントロがギターとピアノだけで、後にバンドサウンドになっていくそうなのだが、これは星野源野村卓史の二人で始まり、徐々にバンドメンバーが揃っていくのを表しているらしい。なんだその演出!ずるい!もう泣ける!わーん!


様々な思いが込められた「SAYONARA」というタイトルなのだが、それに対して僕はSAKEROCKの曲名で答えてみたい。


「Matakitene!」