大先輩 vol.1@恵比寿リキッドルーム
SAKEROCK vs スチャダラパーという、言わば「対」バンというスタイルではなく、あくまでサケが大先輩の胸を借りて一緒に共演させていただく、というスタイルがこのイベントの趣旨っぽいですが、スチャのBOSEいわく「結局前座じゃん」と愚痴ってました*1。スチャダラパーを今回のお相手として選んだ星野リーダーに始めに言っておきたい。ありがとう!!とにかく見終わった後はそう言いたくて仕方がなかった。なにか今回は特別なことがたくさん起こったライブなのでした。
浜野さんのしょっぱい前座を星野リーダーが5分少々で無理やりフェードアウトさせ、前説を始めたことにビックリ。この時点で今回のイベントの気合が伝わってきました。こういったやりとりは後々にも続くのですが、今回印象に残ったのは、やけに星野リーダーが喋っていたこと。やはり大ファンであるスチャダラパーをイベントに迎えるということの気合の入り具合だったのかもしれません。
THE HELLO WORKSではなく、スチャダラパーです。2MC(+ロボ宙 ex.脱線3)+1DJスタイルです。もうですね、さすがの貫禄でした。スチャダラ自体がHIPHOPにも関わらず数々の異種格闘技線をなんなくこなしてきたこその貫禄が発揮されてました。HIPHOPなんて、それこそスチャかライムスターしか聴かない自分ですが、HIPHOPのライブっていうのはテクノのように、音源と違うことをどんどんカマしてくるんですね。SHINCOのプレイが冴え渡ってました。「オイーッス!」の掛け声で始まったライブは、現時点での最新作「Con10po」から『BD発言』や『DISCO SYSTEM』をやったり、かと思えば『アーバン文法』『B-BOYブンガク*2』をやったりと新旧織り交ぜ。最後には「週刊真木よう子」のエンディング曲である『ライツカメラアクション』を披露。なんというか、言語感覚、聴きやすさ、そして何よりアウェイであっても瞬時に引き寄せるアクション。どれをとっても「さすが」としか、ボキャブラリー貧困なオレには言えません。伊達に結成20周年を迎えてないです。関係ないけどスチャがゲストに出た「宇多丸のウィークエンドシャッフル」のポッドキャストはその20年の歴史が聞けておもしろかった。更に関係ないけど、この放送を聞いて、以前「私はしまおまほになりたかった」という方がいらっしゃったことを思い出しました。
そんな圧巻のライブを見せ付けられた影響か、今回の浜野さんはミスが目立つ目立つ。仕舞いには「七七日」のAメロだけやり直しを懇願するという事態にまで陥ってました。残念です。でもですね、そんな一人のルサンチマンを尻目に、今回のライブはみんなの意気込みがスゴかったように感じた。なにより伊藤氏のドラムが、日本刀のようにばっさばっさと切れ味鋭かったのが印象的だった。そして久々の「ちかく」や最近の定番「老夫婦」、代表曲「慰安旅行」を交えて、次の演奏では星野リーダーがギターからなんとマリンバに楽器チェンジ。散々TV Bros.でマリンバ購入の苦労を語っていたのですが、ついにライブで投入されました。うわー、なんかスゴいことが起きそうだ…とテンションフルスロットルなところに、スペシャルゲスト野村卓史(グッドラックヘイワ、ex:SAKEROCK)登場!サケのセッティングのときにキーボードが登場していたので「誰がくるんだろー?TUCKERとかなら最高なのになー」なんて暢気に見ていたから、本当に不意をつかれた。そして演奏されたのは「最北端」(ゆらめき〜PPPPサウンドトラック)と、まさかまさかの「行けバナナ」!昨年夏に上演されたバナナマンの「Spicy Flower」のオープニング曲として作られたもので、公演を見にいけなかった自分はDVDで初めてこの曲を聴き、あまりのかっこよさに鳥肌が立ったのでした。新たに「会社員」と名前を変えたこの曲は…もうですね、相当よかった。鼓笛隊のようなイントロから始まり、マリンバ連打のメロディ、キーボード伴奏、控えめなトロンボーンのメロ。何から何までがよかったです。しかも、どうやら次のアルバムに入るとのこと。ありがとうございます。本当にありがとうございます。ちなみに当初は8月発売予定と公言してましたが、9月になりそうとのこと。これは8月に行われる星野リーダーの芝居のせいなのだろうか?続いて披露されたのは…「インストバンド」。野村氏を加えて完全版でのこの曲を生で聴けるなんて、夢にも思わなかった。あーあー、なんて今日は特別な日なんだろー、と噛み締めました。最後は「青葉コック」。音源どおりでもなくDVDで見たバージョンでもなく、新たなアレンジが加わり、むしろキーボードメインの曲と生まれかわってしまっていた。なんなんだ、どうしたんだ、これから野村氏もたびたび登場するのか?完全に冷戦は解かれたのか?リーダーと野村氏が二人向き合って笑っている姿に、クイックジャパンの「微笑ましくも真剣な仲直り」を読んだ身としてはとても感慨深いシーンだった。
- SAKERAP
その後浜野さんを除く4人ははけ、再度押し語りを披露し、サイテーな歌詞を披露(「リストカット!」とか「フェラチオ!」とか)し、またもしょっぱい雰囲気になったところで再び現れたバンドメンバーは、「songs of instrumental」のジャケの、あの白スーツを久しぶりに着用!更に更に、スチャの3人までも白スーツで登場し、結成されたグループはその名も「SAKERAP」。大ファンである星野リーダーの執拗な「この曲がやりたい!メール」を受けたBOSE。そして披露してくれたのは「From 喜怒哀楽」「ついてる男」「サマージャム('08)」!!!サマージャムとか、永遠のアンセムをやるのまでは、まぁ想像できたけど、「ついてる男」とか渋すぎる!しかも演奏は最後の方は「生活」にいつの間にかなっていた!あと「From 喜怒哀楽」、ついに本家に歌わせちゃったねー。「songs of〜」のブックレットで『ドラえもん工場』とはこの曲から引用したものです。なんともまぁ、シニカルな人なんだ。ちなみに歌詞はこちら。あとはなんといっても「サマージャム('08)」。感動に震えた。しかもここでは野村氏までも白スーツで再登場。もう、みんな、最高すぎる。アンコールでは再びサケの4名が集まり、「生活」で終了。
まさかこんなに特別なイベントになるとはまったく思ってませんでした。このライブのメンバーの写真がMU-STARS・sarudogのブログに載ってました。みんないい顔(特に野村氏)!このイベント、どんどん続けていくと宣言しており、次回スチャダラが出るようなことがあれば、次は「スチャダラパーのテーマPT1」(!!!)をやると公言してしまったBOSEに、「今の聞きました!?」と喜びを隠し切れない星野リーダー、なんて一幕もありました。「スチャダラパーのテーマPT1」て…あれですよね、「太陽にほえろ」のテーマをサンプリングした超初期の曲ですよね?それは聴きたい…。あと、次回のライブは6月6日(金)。ワンマンかも?とのことです。行けるかどうかはわかりませんが、がんばってみます。その前にはcircle!
それにしても、ANIはすごすぎる。あんなに酔っ払って目が据わってて適当なことしかしゃべらなかったのに、曲になるとバチっと切り替わり、歌詞を一切間違わない。すげぇよ。浜野さんとANIが似ている、と言う指摘がありましたが、まだまだ差は1光年くらいありそうです。あ…そういえば浜野さんは最後までBOSEから「えーと、誰だっけ、あの、ハマダケンさん」と言われ続けてました。