マニフェスト/RHYMESTER
ライムスターは活動休止中、個人活動が実に多種多様でした。
宇多丸は音楽活動よりもラジオDJとして大きく飛躍し、放送業界にその名を轟かせました。相方のMummy-Dは元スーパーバタードッグの竹内朋康と共にマボロシとして活動。更に近年では椎名林檎やスガシカオの楽曲にジョイントし、日本音楽界にアピールし続けてきました。そしてDJ JINは主にプロデュース業に勤しんでいました。それにしても各ソロワークがこんなにもバラバラなのって、なかなか珍しいのではないでしょうか。ヒップホップ界の重鎮なのにヒップホップ界を飛び越えて果敢にアウェーに立ち向かい続けているようにも思います。
というわけで最新作なのですが、普段ヒップホップを聞かない人ほど聞くべきアルバムではないかと思うわけです。現に自分がそうなので。ヒップホップのCDってスチャダラパーとライムスター、近年ではサイプレス上野とロベルト吉野も買いましたが、これだけしか持っていません(洋楽だったらビースティ・ボーイズのみ)。今回購入した理由というのは、やはり自分が宇多丸のラジオのリスナーであるというのが大きいです。しかし、実はそれ以前にも『グレート・アマチュアリズム』、『逃走のファンク』、スーパーバタードッグとのコラボ曲『This Y'all, That Y'all』などなど彼らの曲は元々好きでした。理由は、ヒップホップっぽくないから。ヒップホップというとどうしてもZEEBRA的な、要するにハードコアなイメージがあってどうも苦手だったのですが、トラックもいろんなビートがあるし、何より歌詞(ライム)が面白い。自分は普段、音楽を聞くときは歌詞をほとんど気にしないのですが、それでもやはり気にせざるを得ない。更にはその日本語が聞き取りやすいというのも好きな一因であると思う。そして、今回は特に宇多丸は論理的に、Mummy-Dは感情的に歌詞を作成している対比も、それぞれのキャラが出ていて面白い。『Come On!!!!!!!! 』の中に「楽勝っぽくギャラクシー賞もゲット 毎週末 怪電波上でHELLO! 中身はキミの耳で確かめろ」なんて歌詞が聞こえてきて、タマフルリスナーは思わずニヤリ。今回は外部トラックメーカーにかなり委託したということもあり、パターンは様々で、特に弱冠20歳のMONKEY SEQUENCE.19作『ライカライカ』はかなり異色。でも、やはり個人的にはDJ JINが手がけた『付和Ride On』(浅草サンバカーニバル調でかなりアガる)、『K.U.F.U.』(ジャズファンクバンドのマウンテンモカキリマンジャロの演奏がかなりかっこいい)が好みなのです。
オリコンデイリーチャートで3位、週間チャートでも5位という結果のこのアルバム。おすすめです。ちなみに初回特典のDVDに『ラスト・ヴァース』のPVが入っているのですが、なんと4分少々の映像にも関わらず副音声がついており、もちろん4分で副音声が完結できるわけもなく、20分ほど、映像は真っ暗のまましゃべり続けているものが聞けます。ライムスターらしさ、ですね。
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