「Loser's Parade」

for さえない日々

ミドリ VS 神聖かまってちゃん@恵比寿リキッドルーム

とにかく、とんでもないものを見てしまった。時間は少し経ってしまいましたし、いろんなところで渾身のレポートが上がって入るのですが、自分の中で生涯ベストに上がるかもしれないライブイベントだったので自分もここに記しておきます。


そもそもこの2バンドの共通点といえばなんでしょうか。楽器の編成が同じ、互いに危うい、暴走系…。音楽性は多少違っていても、根底に流れる何かが共通しているかもしれないのです。また、この2バンドには一人のキーパーソンが存在します。それは、劔樹人という人物。彼はかつてミドリのメンバーでありベースを担当していたが、メジャーデビュー直前に突如脱退。そしていつしか彼は神聖かまってちゃんのマネージャーとなっていました。その後、いろいろあってこのライブが企画されたようですが、イベント発表後にTwitter上でいろいろと揉め事が発生。終いには「当日は劔は来ません」という事態に。この流れが知りたい方は、後藤まりこTwitterをさかのぼってみてください。
さて、始まる前からいろいろと不穏な感じだった今回の対決ライブ。当日はナタリーが煽るかのように開演前レポートを配信するなど、何かが起こる予感がプンプン。そして肝心のライブは…やはりとんでもなかったです。すでにナタリーRO69で濃厚なレポートが掲載されているため、全体的な把握についてはそちらを参照してもらったほうが早いでしょう。ここでは、個人的視点で時間軸に沿って振り返っていきたいと思います。
開演ギリギリ、いや、すでにオープニングアクトが始まったときに入場したのですが、そこはいつものリキッドルームとは違っていました。扉を開けるとその先が真っ暗。あれ?と思ったら、ちょうど入ってきたところではステージやフロアが見えないように黒い幕が張られていました。なんだなんだ?でもすでに音はしてるぞ?まさかフロアでライブやってるのか?と思い、客をかき分けて見てみると、フロアはフロアでも、リキッドルーム後方のステージを見て右手に特設ステージが出来ていました。ええ!?こんなところでやるの!?とステージに眼を向けると、緞帳が降りていてどうなっているのかは分からず。なんだ?いったいここでなにが起ころうとしているのだ?(すでに撃鉄がライブ中だけど)さて、今回のイベントにはオープニングアクト…というか、対決イベント的に言うとエキシビションマッチが行われていました。先行は神聖かまってちゃんと同じレーベルの撃鉄。後攻はミドリの後藤まりこが立ち上げたレーベル「HAKAI MUSIC」第1弾アーティストの385。
まず、噂には聞いていた撃鉄は、思ってたよりもマトモでした(失礼)。剱さんのツイートだけだったら演奏がむちゃくちゃなんじゃないかと思ってたんですが、スタイルとしては、特にギターの音色が80年代パンクの世界。INUとか思い出しました。混雑していて演奏する姿が見えにくかったのですが、途中でボーカルが客席に乱入。MCも特に挟まず、ほぼノンストップでヒリヒリした感じで終了しました。いやー、ちょっと気になるなー。
対するミドリ陣営の385。元BLEACHの人がやっているバンド。BLEACHをあまり知らないのでどんなものか全然分からなかったのですが、女性なのにバッキバキのスラップベースを弾きながらデス声で唄っているのがかなり衝撃的。そこにドラム+ピアノ。これ、姿が見えなかったのがすごく悔しかったです。かなり破壊力がある音で突っ走っていました。しかしあんなゴリゴリのスラップベースを弾く日本人女性がいるなんて全然知りませんでした。昔、ツーバス踏んでるホルモンのナヲさんを見た時の衝撃と似た感覚を得ました。


さて、いよいよ本日のメインイベントである対決。果たしてどんなことになるのだろうか、とワクワク。ひとまずステージは後方のものではなくて前方にある緞帳が降りているあのステージを使用するのだな、というのはなんとなくわかった。その間にはなぜかビキニギャルが「チカン、アカン」と書かれたプラカードを持って客席の間をうろついている。まさかこの夏、海に行ってないのにビキニを2日連続(前日に見たヨーロッパ企画の芝居でビキニ姿の役者がいた)で見ることになるとは…。しばらく待つと暗転。そして神聖かまってちゃんの出囃子である「夢のENDはいつも目覚まし!」(B.B.クィーン)が流れたために「ああ、最初はかまってちゃんかぁ」と思っていたら突如そのBGMを切り裂くようにミドリの出囃子にスイッチ。「あれ?そう思わせておいてミドリが出てくんの?」と思いきや、それが交互で流され、カオス状態に。そして緞帳が上がると…そこにはなんと、2バンドがずらりと勢ぞろい。ステージ上手にはかまってちゃんのセッティング(今回、の子はセンター)、下手ではミドリのセッティングが用意。まさかの2バンド同時出演!まさに対(決)バン!そしてテンションの高いハジメとmonoがバンド代表としてジャンケンし、先攻がミドリに決定。その演奏が終了後、後攻はかまってちゃんの演奏が始まるというような構成。こうして波乱のライブが始まりました。
あとの展開は…もう、他のレポートに託します。とにかく凄かった。お互いの演奏中に待機中のバンドが煽ったりと凄いことになっていました。さて、この時思ったのですが、二つのバンドを見ていると、ミドリは真剣勝負を仕掛けようと終始シリアスな感じでどんどんプロレスを仕掛けようとしていたのに対し、神聖かまってちゃんの面々はそんなミドリの調子を狂わすようにひらりひらりと交わしているような感じ。トリッキーだった。例えばミドリはかまってちゃんの演奏が終わったらすぐに演奏が始まったり、時にはその演奏を受けて相手を煽ってみたり、後藤まりこが喘ぎ声を出してハジメタルが「みさこ〜みさこ〜気持ちいいか〜クンニは気持ちイイか〜」と陵辱してみたり。対してかまってちゃんはいつものごとくグダグダとMCを行う。ホント、好対照でした。
それにしてもいろいろと要素が多くて表現に苦労します。後藤まりこがmonoがしていたネックレスを引きちぎり、「こいつ彼女おるぞ!ネックレスに指輪がある!アゴ、彼女おるんか?」と、突如暴露されてみたり、それに対して明らかに同揺しているmonoがいたり、「結婚すんの!?結婚すんの!?結婚すんの!?結婚すんの!?結婚すんの!?結婚すんの!?の子くん捨てて結婚すんの!?バンドでうまいことやって結婚すんの!?」と怒涛のラッシュがあったり。「モテるために音楽やってんだよ!」と逆ギレしてみたり。あのシーンは名シーンでした。しかし一番のハイライトは「夕方のピアノ」を両バンドでセッションしたところでしょうね。後藤まりこ、の子という二人がステージ上で一緒になって「死ねーーーー!!!!!」と叫ぶシーンはかなりインパクトがありました。そして最終的に二人とも客席にダイブ(の子は後藤まりこに突き落とされた感じだが)し、ステージに上がってきたところを後藤まりこが猛烈なキスを浴びせるシーン。あれは対決を冠したイベントの締めとしては完璧だったと思う。
「完全にかまってちゃんの負けだったね」という声を聞きますが、まぁ特に勝ち負けというのは関係なかったのだと思う。そもそも対決というのも不本意だったのだと思う。2バンドそれぞれが、それぞれの演奏をして、時には刺激されている姿を見られたのが何よりよかったです。とにかくあの体験は、あそこにいた人たちでないと分からないかも知れない。後日スペシャで放送されるそうですが、どこまで放送されるのかも分からないですし、何より映像では伝わらない部分(あの異様な雰囲気だとか)が多々あると思います。本当、今回はチケットを取ることができてよかった。どちらも最高!