「Loser's Parade」

for さえない日々

オール電化フェア2011@日比谷野外大音楽堂

先週になってしまったけど、スチャダラパーが主催する夏のイベントに行ってきた。「オール電化フェア」ってタイトルもそうだけど、このイベントのために撮影された写真は皮肉この上ない。さすがだなー、こういう笑いに昇華して皮肉れるのって、スチャダラパーくらいしかいないんじゃないか。そんなイベントにSAKEROCKも出る上に電気も出るって言うのなら行かない理由が見当たらない、ということで行ってきた。


当日は昼過ぎからの開演前に、同じく日比谷公園内の小音楽堂にてフリーライブを行うという情報も入手。昨年行われた「スチャダラパー20周年」でも開催され、そこには星野リーダーが弾き語りで登場したって聞いたので、昼前あたりに日比谷へ。現地ではすでにAFRAのライブが終了し、かせきさいだぁ&ハグトーンズが『ときめきトゥナイト』のオープニング曲を演奏を行っていた。「ああ、この曲、タマフル何年か前に特集してたなー」なんて思いつつ、ひとまず物販へ足を運ぶ。今回、物販では昨年のイベントで創刊された雑誌「余談」の第2号、更には自主制作CDが発売されるというので早々にゲットを目論む。

まだ12時前だっていうのにこの行列。


目当てのものも購入でき小音楽堂へ足を運ぶと、そこではEGO-WRAPPIN'の中納良恵が登場。ソロの弾き語りは久しぶりだそうだったけど、自らの声をループさせつつ様々な曲を披露。最後にはこの日のために作った曲で「東電〜大変〜」という声をループさせてイベント出演者を歌詞に盛り込んだものでした。粋な計らいに盛り上がりまくり。
続いて登場したのはハナレグミ。ちなみに、このタイムテーブルは事前告知ゼロなため、誰が出てくるかはそのときにならないとわからないようになっていました。豪華なメンツを無料で見られるってすごいなぁ、などと思いつつ。ハナレグミは途中にAFRASLY MONGOOSEのKUNIも登場していました。
最後に登場したのはレキシ。アコースティックで行うのは初めてで緊張していたらしいけど、そんな素振りはいっさい見せないエンターテイナー池ちゃん。先ほど歌っていたハナレグミ永積がシャカッチとしてギターを弾いていたり、最後にはBOSEが登場して『狩りから稲作』で「稲、穂〜!」というコールアンドレスポンスで大盛り上がり。すごいフリーライブでした。

フリーライブの会場はこんな感じ(下手側から撮影)。

あまりにも豪華なウォーミングアップを経ていよいよ本番。そういや今回の出演者って誰だっけ、そういえばネゴシックスの名前が司会じゃなくて出演者の中にあったような…と思っていたところで、トップバッター、というか前説として、いつもの画用紙に書かれた2次元ラジカセを担いでネゴシックス登場。今回は出演者をお手製模造紙テロップで紹介、するも名前が「サイクロプス上野とロベルト本郷」「酒とロック」「アルフィー」などと書かれていてそれにツッコむネタ。客を困惑させたところでMCの麒麟が登場。そして本イベントの主催者であるスチャダラパーが例の東電風作業着に身を包んで「とりあえず謝っとこう」と言っていろんな方向へ頭を下げるパフォーマンス。「麒麟の2人にも着てもらおうと思ったんだけど、事務所的にさ…」とはBOSEの弁。あと「今日は“オール電化フェア”だから。電気大好き!ってことだから。オレなんかクーラーとプレステ3つけっぱなしで家出てきたもん!」「ちょっとさ、ホントに停電するか皆で試してみようぜ。いっせーの、で使用量の数値が上がったらいいけど、どうせ落ちなかったりするんじゃない?」「オール?『電化ー!』」「電気?『大好きー!』」「平賀?『源内ー!』」など、皮肉たっぷりの前口上を経ていよいよ本番スタート。

浅草キッド両人から花が来てました。あとバカリズムとかいろいろ。


1番手にサイプレス上野とロベルト吉野。ド頭に『HIPHOP体操』、そして『バウンス祭』や『サ上とロ吉』などを経て『WONDER WHEEL』でシメ。一見さん向けのセットリストでインパクトを与えていました。ここで『MASTERSオブお家芸』で宇多さん登場!とか、SLY MONGOOSEの笹沼が出てきて『FEEL LIKE DANCE』やったりしたらすごいのになー、とか思ってたけどふたりだけでやりきってました。
2番目は「20年間、人の心にぱっとは響かない活動を続けて参りました!」と登場したアルファ。『エクスタシー温泉』などをやり、途中ではさっそくスチャダラパー登場。「ここはミョンドン(という体)です!」として始まったのが最新フューチャリング曲『君にポゴシッポヨ』では韓流チックに。そしてやってくれた『惚れたぜHarajuku』!アツイ!ヤバイ!間違いない!おっさん達が振付も揃えて最高。
3番目にSAKEROCK。煽りまくる出演者だらけの中では異質なポジションだったかも。今回は最近の「MUDA」セットリスト、星野テレキャスではなく、久しぶりに星野フルアコでのスタイル。1曲目から『慰安旅行』で「おお!」となる。続いて『モー』『菌』とサケの中でも盛り上がる曲を立て続けにやったかと思うと、『今の私』でしっとりと。そして久しぶりの『エイトメロディーズ』!演奏後にはスチャの3人が「あれ?この曲なんだっけ?あ、そうそう、『MOTHER』だ。歌って攻撃するんだよね。」と喋りながらゆるっと登場。それに合わせて「慣れてくると狭いところでもぐるぐる回ってテレポートできるようになる」とマザーあるあるを被せる星野リーダー。そんなわけでスチャが登場したってことでSAKERAP!「ついてる男2011」!途中のハマケンがANIをボコボコにするコントでは何故かハマケンがANIに殴り返されるというのに変わりつつ。コラボ終了後、さっきの曲でマッシュアップされていた原曲『生活』で終了。

SAKEROCK

  • 慰安旅行
  • モー
  • 今の私
  • エイトメロディーズ
  • ついてる男2011
  • 生活

そういや演奏後、出演者はMCの麒麟とトークをすることになっているのですが、そこに残されたのは星野+浜野のタレントコンビ。だけどタレント経験値が格段に上な麒麟に恐れをなしたのか、珍しくリーダーがハマケンを頼りに「俺たち仲良しです!」なんて肩を組んだりなんかして、ちょっとした腐女子な方々の目の保養になっていたのではないでしょうか。そもそも二人の服装がボーダー同士だったってのもあったし。あと麒麟+星野+浜野で並んだ時にようやく理解したけど、麒麟の二人、背が高い。川島は大喜利イベントやファミ通イベントなんかで何回も生で見てたけど、そういや田村を生で見るの初めてだったかも。

とにかくこの日は日差しが強くて水分補給が大事でした。


続いてTOKYO No.1 SOUL SET。『Sunday』や『Innocent Love』などを披露し、途中ではエゴのよっちゃんを加えて『みずいろの雨』も。そして当然ここでもスチャが登場(大忙し)して『NEVER ENDING BEATS』。この曲、振りとかあったんですね。ちょっと笑ってしまった。あと演奏後に麒麟とのトークでコヤブソニックでのあやまんJAPANとのコラボ話をしていたときに客席にあやまんJAPANファンタジスタさくらだが登場して、BIKKEといっしょに「ぽいぽい」やってました。俊美さんが「昔からのファンに『BIKKE変わったよな』ってまた言われるよ!」と言っていたのが面白かった。あと、ちゃんとライブを見に来てるあやまんJAPANは律儀だなー、と思いました。
そしてここで電気グルーヴの登場。2人とも「節電気Tシャツ」を身にまとい、瀧はシルクハットで登場。電気グルーヴとしては2年ぶりのライブだったようで、サポートはなく2人だけで。「こんにちは!“節”電気グルーヴです!」と『少年ヤング』からスタート。活動再開後のアルバムからが中心のセットリストだったけど、途中で夏だからか『ガリガリ君』も。卓球による瀧へのムチャぶり(イノキっぽく言って!など)、瀧のお客さんとのふれあい(客のタオルを奪い汗を拭いて股間を吹いて返したり、客の帽子を奪い唾を吐いて返すなど)などなど、あっという間。なぜかここではスチャが出てこず。まぁ、絶対に後から出てくるだろう、とは思っていましたが、ちょっとがっかり。

電気グルーヴ

トリ前という位置で相対性理論。電気がひっちゃかめっちゃかやった後のステージの空気をガラリと変えていきました。多分最近出たアルバムからの曲(まだ買ってない)をやって、『ミス・パラレルワールド』『人工衛星』やアレンジ違いの『ペペロンチーノ・キャンディ』などなど。ベースがやたら大きくてちょっと音のバランスが悪い感じがしたのだけど、野外のせいなのだろうか。あとギターの人がディレイ使いになってた。そして「いでよ、スチャダラパー」というやくしまるえつこの声でスチャがここで登場。コラボ曲は…『テレ東』!相対性理論の演奏に合わせてテレ東に関するっぽいことをラップしてました(「正しい相対性理論」でこの曲をスチャがリミックスしてたんですね、後から知りました)。それにしても相対性理論はアウェイだったなぁ。


そしていよいよスチャダラパー。トリだけど散々今まで出倒してたからスター感がない!というMCだけど、イントロ途中で曲を止めて「もっと盛り上がって!」と煽りまくり。そしてド頭から新曲の『Bakananova』。荒川良々バカボン役だった舞台「天才バカボン」に使われた曲。アウトローで「バカなのだバカだバカなのだ」連呼に合わせてアニがいろんな政党名を合いの手的に入れていた。合間にシングル曲『ライツカメラアクション』を挟みつつ、続々と震災以降の新曲を披露。そして畳み掛けるかのように披露されたのがYOUTUBEにも上がった『かえせ!地球を2011』!!斉藤和義ほど話題には上がらなかったものの、やってることは同じこと。「すいませんねー、楽しそうなパーティなのに新曲ばっかな上に辛辣なこと言っちゃって」と自らツッコミを入れつつも、震災後にいよいよシリアスにならざるを得なかったスチャダラパーの本気が見て取れる。その後、LB仲間を交えて『Get Up and Dance』。そして来た!電気!瀧が現在放映中のNHK朝ドラの役「中村先生」の恰好で出てきて「戦地より帰ってまいりました!」と宣言し掛けていたサングラスを取ると…レディガガならぬピエールガガ!!曲はもちろん『聖☆おじさん』。「大して売れてないのにこのキラーチューン具合!」とはBOSE談。あと卓球はユニコーンの民生に次ぐ(ユニコーン復活前から卓球はやってたけど)カウベル使いでした。そしてラストにはSAKERAPでやらなかったから絶対ここでやるだろう、と踏んでいた『サマージャム』。夏にこの曲をやらない理由はないわけで。
アンコールでは「言っとくけど、小沢健二は来ません!」と何度も釘を打ちつつ、登場したのは相対性理論。なぜか『ルビーの指環』のイントロを弾きだし、始まったのは昨年のリキッドルームでの対バンでも披露されたという『今夜はブギーバック』。歌い終わりにやくしまるえつこの「電気を大切にね」という、このタイミングであの人が言う!というズバリなセリフでエンディング。


それにしても、笑いにしていると言ってもスチャダラパーがどんどんシリアスになっていくわけです。何年か前にタマフルに出演したときに宇多丸さんが「スチャダラパーはある意味一番ハードコア!一番怖い人達!口喧嘩とかしたくない!」と言っていたとおり、世相ワードは昔っからがんがん使っているのですが、今回披露された新曲は会場限定アルバムに収録されていたので聞いてますが、本人たちも「自主制作だからさ」って言ってたとおり、まー、直喩ばかり。もっとバカバカしい、せめて暗喩程度に留められるようなラップをスチャダラパーの皆さんが作る日本になってほしいものなのです。
最後に、『かえせ!地球を2011』の、犬飼ブラザーズバージョンを貼っておきましょう。誰が手がけてるのか、フォント使いでピンと来ませんか?多分あの人だよなー。

そういや小音楽堂の撮影隊に某山岸さんもいたなぁ。