「Loser's Parade」

for さえない日々

BETRAYAL vol.1@渋谷O-WEST(または「野村卓史祭」を見て思うことなど)

BEAT CRUSADERSのケイタイモが始めた大所帯バンド「WUJA BIN BIN」。メンバーは以下のとおり。

全員が様々な場所で活躍する敏腕ミュージシャンばかりのドリームチームで、結成後初のライブを見に行って以来、虜になっているバンドです。各メンバーが忙しい上に大所帯なためになかなかライブを行う機会が少ないのですが、今回は始めての自主企画イベントだということで足を運んだ。対バンは、こちらも名手ぞろいのバンド、NATSUMEN
NATSUMENのライブは昨年3月の代々木以来。いつ見ても緊張と迫力の演奏、しかし適当なMCでの緩和の繰り返し。変拍子の嵐で構成も複雑に絡み合っていて、だけどメロディはキャッチーでいつみても唯一無二。ズバズバと妙な拍を刻むドラムとぶっとい音を出すベース、キャッチーな味付けをするホーン隊にキーボード。そして暴れるAxSxEのギターと愛嬌のあるホインのギター。みんながみんな変則的なことを次々行うのでどんどんステージから目が離せなくなる。あー、かっこよかった。そういえばドラムの山本達久が歩く時に杖を使ってて「え!怪我してんのにあんなドラム叩いてんの!?」って驚いたんですけど、調べてみたらもう長いこと杖をついて生活しているそうですね…。

そしてWUJA BIN BIN。こちらも一筋縄ではいかない曲ばかり。だけど、今まで何回か見ていたけど、以前までのような個々のスキルがぶつかり合う荒々しさが薄れ、今回久々に見たらかなりまとまった楽団になった印象を受けた。レコーディングを行ったことで各自がWUJA BIN BINと向き合う時間ができたからなのだろうか。もちろん以前から楽しいバンドだったのだけど、もっと聴きやすくなっていた。今回は、恐らく新曲であろう曲もいろいろ聴けたのだけど、無国籍な音楽だと感じていたのが、バンドの方向性が固まったからなのか、やけにヨーロッパあたりのメルヘンチックな風景を思い浮かべた(ヨーロッパ地方なんて1回しか行ったことないからイメージで言ってるけど)。
また、アンコール1曲目に演奏した曲がすごくよかった。普段このバンド、ボーカルが2人もいるけれども歌詞なんてなく、スキャットで歌っているのだけど、この曲ではケイタイモ含め3人で歌っていた。恐らく、歌詞はあったと思うけど、うまく聞き取ることはできなかった。あの曲、タイトルも言ってたけど聞き取れなかったな。ちなみにこの曲を演奏する前、ケイタイモが「間抜けな死に方をした友人に捧げます」と言っていたのだけど、恐らくその友人というのは、MONG HANGで同じメンバーだったアツシタナカのことなのではないだろうか。

WUJA BIN BIN、次回のライブは3月23日に青山cayで開催されることが発表されている。早速青山cayのサイトを覗いてみると…5/18には渋谷wwwでもライブを行うことが記載されていた。そして4月開催のKAIKOOにも出演が決まっている。また、昨年秋ごろから作業していたレコーディングは、春頃にリリースされる予定のようなので、とても楽しみ。ちなみにエンジニアはAxSxEさんが担当した模様


さて、今回のWUJA BIN BINとNATSUMENの対バンライブ。個々のライブも当然のように素晴らしいし楽しんだのだけど、自分にはもう一つの楽しみがあった。それは、この企画が「野村卓史祭」であることだ。野村卓史は、元SAKEROCKで現グッドラックヘイワのキーボード。そしてWUJA BIN BINとNATSUMENのキーボードでもある。この天才鍵盤奏者のファンであるオレは、この祭りが楽しみでしょうがなく、しっかりと前方でその姿を見届けた。
グッドラックヘイワの活動を休止し、その後WUJA BIN BINとNATSUMENという、猛者が集うバンドのメンバーになった野村さん。その姿はまるで武者修行のようで、集中すると唇を尖らせる仕草は変わらず、NATSUMENでは緊張感を持って、WUJA BIN BINではリラックスして演奏していた。NATSUMENでは今までにあまり見ることがなかった音楽の破壊性、暴力性、緊張感を学んでいるような印象で、WUJA BIN BINではグッドラックヘイワと繋がる音楽要素もあり、今まで培った国籍フリーな音を助長している印象。
修行を積んでいるかのような野村さんを見て、いつかグッドラックヘイワの活動が再開した時、いったいどのようなユニットになっているのだろうと、今からわくわくしてたまらない。ライブを見ながら別のバンドのことを考えるだなんて、まるで「好きな男の〜腕の中でも〜違う男の夢を見る〜」状態なのかもしれないのが本当に申し訳ないのだけど、NATSUMENやWUJAだって好きだけど、野村卓史個人のファンでもあり、グッドラックヘイワのファンであるのだから許してほしい。こうして様々な場所で鍛錬している野村卓史に対し、相棒の伊藤大地だってSAKEROCKを拠点として、最近では細野晴臣バンドをはじめ相変わらず様々な場所でドラムを叩き続けている。グッドラックヘイワ第二部が始まるその日を、楽しみにしています。