「Loser's Parade」

for さえない日々

ハイバイ「ある女」@こまばアゴラ劇場

作・演出:岩井秀人
出演:岩井秀人、上田遥、坂口辰平、永井若葉、平原テツ、吉田亮 (以上ハイバイ)、小河原康二 (青年団)、猪股俊明
ハイバイのホームページ | 本公演『ある女』

コメディっぽいんだけど、どんどん救いがなくなってきてしまうお話でした。
主人公である28歳のOLを演じるのは男でありアラフォーの岩井さん。この時点で奇妙で面白いのだけど、だからこそ悲惨さに適度なフィルターがかかっていたんだと思います。
物語は、恋人にフラれて上司と関係を持ったら、後にそれが不倫であったことに気がついたところから始まります。最近では会うたびに物やお金をもらうようになったことに対して引っかかりつつもずるずると関係を続けてしまう主人公。ある日、セックス教室の講師と名乗る男と出会い、そこから流されるままに…しかし、というお話。
この演劇を見てからいろいろと記事を読んだところ、実際に不倫している人の話を聞いて何人かのエピソードを一人の女性の話にまとめ上げた作品だったそうです。とまどいながらもなんとなく受け入れていくことは、もしかして特別なことではないのかもしれない。不倫、とか、セックス、とかも、全部意識的に行動しているのではなくて無意識。その無意識の行動がいつの間にか後には引けないところにたどり着いてしまうのが恐ろしかった。
最終的には救いがないお話になってしまうのだけど、随所に笑いの要素が介入してきて、途中までは笑いながら見ていられた。ド頭から使用される映像も、性描写の表現も、会話の内容も、奇妙で面白かった。だからこそ振り幅が大きくて、最終的に「えええ…」となるのだけど。


定食屋の娘役の上田遥さんとセックス教室のセイヤ役だった坂口辰平さんがとても個性的で、一挙手一投足、目が離せなかったです。