「Loser's Parade」

for さえない日々

夢の外へ/星野源

あまりにポップで明るい曲なので、初めて聴いたときはビックリした。
もちろんそれは「資生堂アネッサのCMソング」というお題ありきで制作されたものなので当然であり、今までにないほどの疾走感、恐らくテンポはこれまでのソロ曲で一番早いのではないかというほど。CMで流れている音よりも音源では弦楽器がプラスされて更に疾走感が増している。
しかし、歌詞を読むとただただ明るいだけではない、含みを持ったものであることがわかる。この手法は、以前からずっと変わらない。曲調は今までになかったけれど、結局訴えていることはずっと変わらないまま。
カップリングの『パロディ』は映画の主題歌。沖縄をテーマにした映画だったために、沖縄テイストのこの曲は、曲調やテンポ、アレンジ、そして「蝶々の飛び方を真似て踊る」という歌詞で一目瞭然、細野晴臣の『蝶々さん』オマージュ。『彼方』はメロディの起伏が激しく、近年の作品に見られるようになってきたファルセットでしっとりと。今回のハウスバージョン(宅録)シリーズである『電波塔』は、「ばらばら」のころのように、弾き語り一発ではなく、様々な音を重ねている。
演奏陣を見てみると、今回から野村卓史が復帰し、『夢の外へ』と『パロディ』でグッドラックヘイワコンビが復活。更に『パロディ』では野村卓史と共にWUJA BIN BINに参加している武嶋聡とWUJA BIN BINでもあり、ハマケン率いる後関好宏も参加。コーラスとしてはカクバリズム所属のceroの3人が『パロディ』に参加。カクバリズムからアナログをリリースした片想いのオラリーが『夢の外へ』と『パロディ』に参加している。こうした「昔からの仲間、身近な人物」で構成されているのが基本で、それとは別に新たな試みとして、前作からハマ・オカモトと神谷洵平の3ピース構成が誕生したが、今回も『彼方』で3ピース構成での演奏となっている。
夢の外へ(初回限定盤)(DVD付)
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asin:B007VPBXJ4

とにかく言いたいのは、とってもいい曲だってこと。ここまで突き抜けて、それで含みを持つポップソングって、近年はあまり見られなかったのではないだろうか。だからこそずっと考えてしまう。なので、ちょっとこのシングルについていろいろ考察したいと思う。まずは、このシングルの「順位」や「売上」を見て、星野源という現象を観測したい。