「Loser's Parade」

for さえない日々

『知らない』を聴いて

星野源の新しいシングル『知らない』が11月28日に発売される。
去年の3月に初めてシングル『くだらないの中に』が発売されてから、早4枚目。しかも2枚目『フィルム』は1枚目発売から1年経ってから(震災の影響などもあると思いますが)だったのが、続く『夢の外へ』はその5ヶ月後。そして今回の『知らない』は4ヶ月後。SAKEROCKでは劇伴やサントラ作成の機会が多いのでそれはそれで驚いていたのですが、いよいよソロでもその多作っぷりを発揮してきている。


というわけで、先日ラジオでこの曲を聴いたので感想を書いておこうと思うのですが、とりあえず聴いた直後思ったのは、「あれ、これって川勝さんのことを歌っているのかな?」ということでした。
アコギのストロークから始まり、ストリングスが入ってくるイントロのこの曲は、ミドルテンポのバラード。ゆったりとしたAメロ、次へのステップとなるBメロ、そして歌い上げるサビ。転調したり拍子が変わったりしない、結構ストレートな曲。
歌詞の内容は、大雑把に言うと「別れ」と「その先」がテーマ。それは「終わり その先に 長く長く続く 知らない景色」というサビが象徴している。恋愛としての別れの曲ってふうにも一見捉えることができるのだけど、一個引っかかるのが、Cメロのところに出てくる歌詞である。

何も 聞き取れない 君に僕は
どんなことが歌えるだろう 意味をこえて

「何も聞き取れない君」ってとこがポイント。これがあるので、この別れっていうのが「死」を意味しているのではないだろうか。


ただし、ラジオでこの曲を初オンエアする直前、本人は「この曲は夏にある出来事が起こって衝動的にできた」と語っている。川勝さんの件があったのは今年の1月末。少し時期がズレている。その出来事がどんなことなのか、というのは恐らく本人の口から公に語られることはないかもしれないので、あくまで推測という戯れであることを承知いただきたい。
あと、今回も「意味をこえて」と歌ってます。前回の『夢の外へ』でも「意味の外へ 連れてって」と言っていましたけど、星野リーダーは歌詞を文字通りに捉えず、その意味を越えて伝わって欲しい、という信念がずっとありますね。それは「僕は時代のものじゃなくて あなたのものになりたいんだ」っていう『くだらないの中に』の歌詞にも通じることなんじゃないでしょうか。