「Loser's Parade」

for さえない日々

KAKUBARHYTHM 10 YEARS ANNIVERSARY SPECIAL@新木場スタジオコースト(前編)

カクバリズムのおかげで救われた人生です。


カクバリズム10周年記念ということで所属アーティストが一堂に会して東名阪ツアーを行なって、今回はそれの東京版。それぞれ所属アーティスト以外にもゲストとして、大阪ではneco眠る、名古屋ではHALFBYが登場。そして東京では片想い、サイプレス上野とロベルト吉野、TUCKERが出演。15時にスタートしたライブは、ほとんど途切れなく、22時40分くらいまで続きました。…長かった!
本日の主役である角張社長自らがステージに登場し、いつもの調子で前説。演奏の前には必ずこの前説が付いていました。そしていよいよ10周年記念イベントがスタート。

TUCKER

6月に開催されたプレイベントにも登場していたけど、それ以前にも角張さんが定期的にイベントに呼んだり、近日エマーソン北村との共作をカクバリズムからリリースするなど、繋がりは深い。あとSAKEROCKとは『やわらかリーゼント』という曲を共作してドラマ版「アキハバラ@DEEP」に提供してみたり、細かいとこで言えばハマケンがスペシャで放送していたミニコーナー「浜野謙太の下剋上」でTUCKERがハマケンにスケボーを伝授するなんて回もあった。
TUCKERはエレクトーンを始め、ギター、ベース、ドラム、ターンテーブル、一斗缶、大正琴まで持ちだし、ワンフレーズ弾いてはループさせて楽器を変え…というのを繰り返して一人でバンドを行う。様々な楽器があり、更にループの機材やマイクもあってケーブルだらけで見るからに大変。実際に少々機材トラブルもあったけど、それでもみんな盛り上がった。アキハバラ@DEEPのオープニングテーマ「SWAN LAKE」、鍵盤に引火する「テキーラ」は鉄板!

サイプレス上野とロベルト吉野

5周年のときにも出演していましたね。カクバリズムからは過去に「GET MONEY (借)」という7inchレコードをリリースしてました。最新作「MUSIC EXPRES$」ではユアソンのジュンさんがボーカルとして『ゴメンナサイ』参加。更にいうと、彼らの出身地である「横浜ドリームハイツ」はハマケンの出身地でもあるため、彼らとは幼なじみだったりします*1SAKEROCKとは対バン経験もありましたね。
サ上とロ吉だけはメインステージではなく横のDJフロアにてライブ。「なんで俺達だけここなんだよ!」と言いつつも、「この景色を見れるのは俺達だけ!」と逆手に取って盛り上げに盛り上げる。「今日はカクバリズムのイベントってことでさ、要するにここは渉くんの家ってことでしょ?HIP HOP的に言うと、ヤサなんだよね」と始まった『ヤサの詩』では豪快に自分の住所を暴露しつつ、「ハマケンちの住所言っちゃったらゴメンな!」なんて煽りも。最後には「ギャラ争奪じゃんけん大会ー!」…って、この流れ、5周年のときとおんなじだよ!と思いつつ、みんな見事に「最初はグー!最後は金ー!」と騙されていて、5年の間にカクバリズムファンが増えたことに思いを馳せました。ちなみにこれは『GET MONEY』の前フリ。

片想い

動画で見たことあったけど、初めてライブを見た。これが、とんでもなかった。一気に掴まれた。
8人の大所帯で、なにやら様々な楽器が置かれている。始まったかと思えばおもむろに主要人物っぽい男性ボーカルが紙を持って何かしら演奏に合わせて叫んでいる。「ジム・オルーク岡村靖幸!…」どうやら、彼らがリスペクトしているミュージシャンを列挙していっているようだった。なんだ?いったい何が始まるんだ?と一気に視線が舞台に集中。そこで急に「お祝い!」ってことでグラスを掲げだしメンバーがシャンパン?注ぎ出す。cero高城が誘導する形で角張社長が登場。そして舞台上のみんなで乾杯!なんだこの粋な演出。
こうして初見の人が多かったであろうこの場を一気に自分たちのペースに引っ張って行きました。8人それぞれの楽器、ギターにベースにピアノにドラム。ホルンにトランペットにサックスにトイピアノ三線、スティール・パンまで登場する音楽は、いろいろな文化を吸収したかのようなごった煮のようだった。そして、唯一知っている2曲の内の1曲である『踊る理由』のアンセムっぷりがスゴかった。あの曲がずっと頭の中をぐるぐるしている。音源欲しいって思ったけど、すでに売り切れてるんですよね。

「オレもなんかやりたい!」って思わせてくれるようなバンド…というか、集団でした。すっごくメンバー同士が楽しそうだったから。あとから知ったんですけど、ベースはホライズン山下宅配便の伴瀬さんだったんですね。ちなみにメンバーのオラリーさんは星野源『夢の外へ』でコーラスとして参加してます。余談ですが、遠目で見るとMC.sirafuさんが劔樹人さんに見えて仕方がなかった。

MU-STAR GROUP

MSG体制となってから見るのは2度目。前回は下北沢インディーファンクラブにてシェルターで見たのだけど、やはり映像を使用するなら大会場が似合う。見事に映えていた。『NO STAR』が好き。それにしても、カクバリズム所属アーティストはインストバンドでもDJでもラッパー、結局みんな歌っちゃうっていうのが特徴ですよね。イルリメなんて今や弾き語り〜ポップバンド結成と歩んでるし。

cero

「今のカクバリズムを象徴しているのはcero」という言葉がサイトウジュン星野源両人から出るとおり、カクバリズムの末っ子。6月にはプレイベントで登場してそのときに始めてライブを見たのですが、そのときは「WORLD RECORD」を聴いていた印象同様に「若いのに70年代シティポップを志しているバンド」という感覚だったのですが、あれから3ヶ月くらいしか経っていないのにそれにプラスされる何かを身に着けている、という印象になった。ちなみにサポートメンバーは片想いからあだち麗三郎とMC.sirafu。片想いとは繋がりが深い。
以前見たときはとても緊張した面持ちだったのが、今回は割とリラックスしたライブだった。それもあってか、以前のようなちょっとした緊張感はなく、とてもポップだった。それは多分、新作がエキゾだけでない方向に振れたということも影響していると思う。高城が語った「前作を出したときはまだカクバリズムの足を引っ張っているような感じだったけど、新作でようやく仲間になれた気がしています!*2」と発言。この数カ月で、ceroの印象はとても変わりました。モヤさまのエンディングにもなっている『Contemporary Tokyo Cruise』がいい曲。


長くなったので後編に続く。


ちなみに当日はテレ東でも粛々とカクバリズム10周年を祝っていたそうで…

やっぱりモヤさまの選曲担当してる人、カクバリズム好きだったんだ!ユアソン、サケロックはインストだから他の番組でもよくかかってるけど、それに加えてたまにニカさんがかかったり、そもそもエンディングテーマにcero起用してるし、過去には在日ファンクが2曲使われたりしてたから「もしや…?」と思ってたんだよ!テレ東、素晴らしい。素晴らしい、テレ東。

*1:吉野とは確か中学生の時に同じ吹奏楽部だったはず

*2:この発言に対して後にユアソンのジュンさんが「ceroは始めっから完成されててとっくに仲間です!」と紹介していた