「Loser's Parade」

for さえない日々

モテキナイツ@Shibuya O-EAST

ドラマ・映画「モテキ」の関連イベントだった「モテキナイト」が、なぜか「モテキナイツ」として突如の復活。出演者にGOMAさんやモーモー、ザゼンにOKAMOTO'Sが出演するってことでチケットを取ったら、開催2日前にずっと見たかった女王蜂の出演も決定。なんだかスゴいメンバーが「モテキ」の名のもとに揃ったのでした。
会場に到着すると開演前ながらすでにLEGENDオブ伝説ことサイプレス上野がDJで盛り上げていた(もう終わりかけだったけれど)。それを横目にドリンクを引き換え、ステージ下手側に場所を陣取る。そして、ちょっと早めの17時からライブがスタート。


まずはGOMA & The Jungle Rhythm Section

以前、リキッドルームでのイベントで見たことがあるのですが、それってGOMAさんが事故に遭う前なんですよね。だからきっとそのときの記憶はないのでしょう(事故とその後の障害についてはこちらの記事を参照)。
現在公開中の「フラッシュバックメモリーズ3D」は未見ながら、昨年頭にスペースシャワーTVで放送された映画の原型である「フラッシュバックメモリーズ」は見ているので、現在のライブがどのようになっているのかは知っていたが、実際に体感すると、そのリズムがとても気持ちよかった。満足してふと振り返ると、ちょうどそこには「フラッシュバックメモリーズ3D」を監督した松江哲明さんがいらっしゃって、なんだか不思議な気分に。映画、見に行きます。

続いてOKAMOTO'S。ライブを見るのは初めてでどんなことになるのだろうかと思っていたら、そのガレージ・ロックっぷりに10年以上前の学生時代、関西で“ちぇるしぃ”や“イグワナズ”、“GASOLINE”なんかを見ていた記憶が蘇ってなんだか懐かしかった。若者が渋い音楽をやっている、なんて思っていたけれど、そういえば学生時代に見ていたガレージシーンだってメンバーは、例えばキングブラザーズとかだって20代そこそこだったはず。だから、別に特異なわけではない。
それでは、何が特異なのかというと、やっぱりハマ・オカモトのベースなんだと思う。(顔含め)ミック・ジャガーの如く振るまうオカモトショウ、カッティングで曲を彩るオカモトコウキ、キース・ムーンそのままのドタバタドラムのオカモトコウキという3人をよそ目に、後方でどっしりと構えてステージアクションなんてなんにもしないのに、自己主張がすぎるくらいのベースラインが、OKAMOTO'Sの特異なところなんだと思った。
すごいなー、変なバンドだなー、って思ってたら、途中で岡村靖幸の『どぉなっちゃってんだよ』カバーを披露。この曲はモテキのコンピレーションアルバム(モテキ的音楽のススメ COVERS FOR MTK LOVERS盤)に収録されているものなのだけど、途中(「週刊誌が〜」のへん)でドラムのレイジが前に出てきて、ショウとポジションチェンジ。「ドラム!オカモトショウ!俺のドラムの師匠だ!」とかなんだか叫びながら練り歩き始めて、あ、そういやこのバンドの中で一番狂ってるのはこの人だった、と改めて気づかされました。変なバンドだなー。
あと演奏された中で『マジメになったら涙が出るぜ』は、サビがえらくポップでこの曲だけやけに浮いているような気がする。こんな曲がどんどん増えてきたらもっと世の中に浸透するのに、とは思った。


ここでDJとして大根仁監督が登場したのだけど、「ここでスペシャルゲストをlお呼びします」という言葉にお客さんが一気に盛り上がるも、登場したのはご存知マキタスポーツ。登場した瞬間の「…?」、姿がはっきりとわかった瞬間の「…!」、そして「…お前かよ!」という絶妙な空気感の流れがたいへん面白かったです。
マキタさんが披露したのは『上京物語』と『五十九の夜』、『X JAPANワールドミュージック』、矢沢永吉の細かすぎて伝わらないモノマネだったと思う。X JAPANワールドミュージックバージョンは去年行われたスチャダラのイベント「新木場ジャンボリー」で見てお笑いしたやつなんだけど、みんなXって通ってないのかなー。『紅』知らないのかなー。
その後、大根監督のDJは電気グルーヴの新曲(『Missing Beatz』)などをかけてました。


そしてモーモールルギャバン。出演者が「モテキ」、もしくは大根監督に何かしら縁がある(GOMAさんは「フラッシュバックメモリーズ3D」の松江監督と大根監督が仲いいからじゃないかと)人たちばかりの中、明らかに浮いていると感じてしまったモーモールルギャバン。入場受付の際に「どのバンド目当てですか?」と聴かれた際にその不安から「モーモールルギャバンです!」と堂々と宣言をしてきて、勝手に「もしかしたら所見の人ばかりなんじゃなかろうか…モーモー目当ての人なんているんだろうか…」なんて失礼な心配をしていたのですが、完全に読み間違えました。会場、大盛り上がり。
そしてやっと気がついたのです。「そうか、モテキのイベントに来るのって、元気な若者たちなのか!」と。GOMAさんだったり、女王蜂だったりと、出演者を見て勝手にオシャレなカルチャーを好む人たちが見に来ているものだと思い込んでいて、そんなオシャレカルチャーとは遠い場所にいるモーモーはアウェイだなんて思っていたんですが、実際にはライブ大好きな若者ばかりであるとようやく気がついたのです。そうか!だからマキタさんのX JAPANネタの反応が微妙だったのか!
というわけで、モーモールルギャバン、大盛り上がりでした。セットリストは『ユキちゃん』から始まり『ユキちゃんの遺伝子』、『サノバ・ビッチェ』『スシェンコ・トロブリスキー』、そして『サイケな恋人』と濃縮還元なライブ。ゲイリーはテンポがよれよれだったけど、それを勢いでカバーしてました。いや、勢いがありすぎてテンポがよれよれだったって感じかな?そしてこの日もユコはかわいカッコ良かったです。
ゲイリーが途中のMCで「今日は女王蜂も出るって、みんなと同じタイミングで俺たちも知って…。数年前、関西の小さいライブハウスで対バンとかしてて。女王蜂が活動休止とか…こっちにはいろいろ事情ってのがあるんだ!!でもそれに負けずに頑張っていこう!!」と言っていたのがなんだか印象的でした。


続いて後藤まりこによるDJ。エスパー魔美などのアニソン、『チュッ! 夏パ〜ティ』などのアイドルソングをかけつつ自分で歌ったり、映画版モテキの音声をサンプラーで出したりとキャピキャピ。途中では予想通りサイプレス上野とロベルト吉野が登場して『ちゅうぶらりん』を披露。ちなみにこのときも後藤まりこがDJをしていたので吉野は後ろでひたすらビールを煽っていました。その後、ももクロの『走れ!』をかけたり、ナンバーガールの『NUM-AMI-DABUTZ』のイントロのギター「ジャーン!」を繰り返してかけたり。後藤さん、こんな感じのDJなんですね。


続いて、活動休止直前の女王蜂。「見てみたいなー、でも確かライブってドレスコードとかあるんでしょ?敷居高いな〜」ってまごまごしているウチにメンバーの脱退、そして活動休止発表となってしまい行く機会を逃してしまったと後悔していたので、今回開催直前に急遽決まったのはまさに「渡りに船」。
肝心のライブについてなのですが…お噂はかねがね聞いてましたが、聞いていただけではわかっていなかったことだらけ。これはもう、ライブを体感するしかない。サポートメンバー含めた衣装のセクシーダイナマイトさから圧倒される。ちなみにサポートキーボードの人は下が恐らく黒の下着だけ、という状態で、あとでTwitterで「男どもが一気にキーボードの太もも目当てで押し寄せた」と書かれているのを見ましたが…なんとなく男を代表して謝っておきます!すいません!でもあれはしょうがないよ!オレも近くに行きたかった!
忘れがちだけど会場である「O-EAST」は、渋谷の円山町というラブホテル街にある。そんな猥雑とした街で、耽美というか妖艶というか、あまり経験のない雰囲気に形容がよくわからないのだけど、なんだかシチュエーションが合っていたような気もする。年末に見ていた紅白に出演した美輪明宏の歌唱シーンなんかも思い出したりしてました。


トリは、「マツリ・スタジオから、マツリ・セッションを、ふぬぐり上がって」やってきた、ZAZEN BOYS。久しぶりに見たけど、更におかしなことになっていて面白かった。
昔の印象では、ストイックに変拍子を淡々と演奏している、というライブだったように思うのだけど、今では『COLD BEAT』が一種のネタコーナーのようにまでなっていた。かつてのSAKEROCK『Old Old York』がハマケンのネタコーナーだったかのように。
曲の途中で演奏が止まり、まるで指揮者のように向井が「シャッ」と手をやると、その演者が「ジャン」とか「ブンッ」とか「ダン!」と1音を出す、というくだりがある。向井を指揮者としてみんなを操る、という趣旨でパフォーマンスとしてはカッコイイのだけど、その指揮は急にやってくるものだから、ちょっとコミカル要素も混じってくる。
そこからは突如向井はチャルメラ(たらら〜らら、たららららら〜)のメロディを鍵盤で弾き、それに合わせてアドリブで「モテた〜くて ここに来ました〜」「モテな〜くて 諦めてた〜」という歌詞を作成し各メンバーに歌わせ始める。なんだなんだ?このネタコーナーは?と思っていたら、次第にその歌を「じゃあ、あなたとあなた」と言って客席にいる男女でそのフレーズをハモらせてみたり。最終的にはフロア全体で輪唱させてみたり。
いったいいつからこんなことになっていたのだZAZEN。ナンバーガールの呪縛から10年経っても抜けられない自分は、ZAZENのアルバムは「?」までしか持っておらず。その後、たまにPVをYOUTUBEで見る程度でライブに行くことはなかったのだけど…こんなにも「得体のしれないもの」になっていたんですね。そもそもキーボード弾いてる姿もまだまだ見慣れないし、ハンドマイクで歌い出したのは割と衝撃的でした。ギター弾いてない!
でも、後半で披露された『はあとぶれいく』という曲が、難解な曲群の中で抜群に異彩を放ってポップだったので、久々にZAZENのアルバムを買ってみようかと、「すとーりーず」をダウンロード販売で買ってみようかと思いました。


そんですべてが終わってクロージング。なのだけど、もしかしたら最後の最後でサプライズ的に何か始まるのでは…?と思ってちょっと残っていたんですが、結局は何も起こらず。今回、「モテキナイツ」というイベントが改めて行われた理由はいったい何だったのか。単なる気まぐれなのか。それとも何かの布石なのか。それは結局わからないままだった。でも、みんな楽しかったなー。