「Loser's Parade」

for さえない日々

サユリ1号/コミュニケーション不全

主人公の男が情けない、という物語にどっぷりとはまってしまう傾向にある。自分がまさにそういう人間だからだ。再三書いている「アイデン&ティティ」しかり、よしもとよしとも作品しかり、浅野いにお作品しかり。
立ち読みした「サユリ1号」がどうにも心を傷つけた。雑誌掲載時よりたまに読んでいた漫画で、背景が京都の大学という時点で、もうダメだった。文系大学が多く、ピーターパンシンドロームが覆う京都の街は、コミュニケーション不全人間の巣窟であり、まさしく自分もその中のひとりだ。気にならないわけがない。
自分にコンプレックスを強く持っている人間というのは、基本的にコミュニケーション不全人間であると思う。自分のコンプレックスが強くなるあまり、自虐ネタでしか人を笑わせることが出来ず、自分のいいところが見えなくなり、常にマイナス思考になる。マイナス思考になると、それを笑いに昇華したいからまた自虐ネタを言ってしまう。どうだ、この不幸スパイラル。自分は昔からこんなにコンプレックス人間ではなかった。「明朗快活」と通信簿の長所に書かれ、クラスの中心にいるような存在であったし、少なくとも高校生まではこんなにヒキコミリ人間ではなかった。しかし、気がついてしまった。自分が「人見知り」であり、「コンプレックス」が多いことに。それは大学時代に突然である。大きくそっちに傾いたのは、この漫画のような出来事が実際に起こったからだ。免疫を持たない男が小悪魔系女子につかまると、そりゃもうえらいことになります。そして自分がなったんだからしょうがない。もがき苦しみ、自分の意義を考え、そして自分で不幸スパイラルに落ち込んでいく。なんと見事な系図。まんま、オレだよこれ。
今日は3巻までしか立ち読みできなかった、というか3巻までしかなかったのだが、見つけ次第大人買いをしようと思っている。オレの漫画リストはイタい作品ばっかりになるかもしれないが、しょうがない。最近の漫画は情けない男が出てくる物語が多いが、それは今の若者の傾向であり、ひいては残念ながら自分の症状なのだろう。そしてオレはこういった漫画を読み、処置方法を模索しているのです。もっといい薬を!

サユリ1号 v.1 (ビッグコミックス)