「Loser's Parade」

for さえない日々

カクバリズム 5th Anniversary SPECIAL

イルリメのときにステージに上げられた女性は、私の高校時代の同級生です。(挨拶)



この日を待ちわびていました、カクバリフェス。渋谷AXというオオバコにも関わらずにソールドアウトという事態に少々ビビりつつ。開場前に現地に着くと、すでに人の波。そこにちゃっかりお仕事をしている淳さんと浜野さんを発見。スペシャボーイズ用に客にインタビューをしておりました。みんな遠巻きに見守っているのが日本人って感じでした。見たいけど、関わりたくないって感じが。開場してからもロビーで熱心に働いていらっしゃるお二人を見て、「ライブ前なのに大変だなぁ…」と思ってしまったのは言うまでもありません。あ、ちなみに来場者プレゼントは「ラジオのカクバリズムカクバリズム5周年SPECIAL編〜」と「カクバリズム5周年に添えてアーティスト・関係者全員のコメントつき小冊子」でした。相変わらずの採算無視が、社長の浮かれ具合を物語っております。
開演はもちろん社長の前説からスタート。当然ビール片手。なんだか感極まって、逆にどうでもいいようなことを口走ってしまう、ユースケ・サンタマリア状態でした。

ようやく見れた。数年前から評判を聞いていて、一度は生で観てみたいと思っていたのでした。そして、期待を全く裏切りませんでした。ラップの世界を斜めに見つつ、でもバカにしているようでそうではないスタイルが素晴らしい。どこかで21世紀のスチャダラと表現されていましたが、近いかも。途中、ゲストMCも迎えながら、『GET MONE¥』『ヒップホップ体操』は破壊力抜群。『ヨコハマフィーチャー』では情けない日常ながらもなんだか泣ける内容で、最後の『Bay Dream』はなんだか希望に溢れている名曲。アウェイでも虜にしてしまうパフォーマンスも去ることながら、やはりリリックとトラックがよいのです。一緒に行ったメンバー、全員が口をそろえて「おもしろかった!」と言っておりましたし。

ニカさん、本日はバンドスタイル。二階堂和美&ザ・シャツ。ちなみにギター、もしかして赤犬のヒデオさんでしたかね?確信が持てませんでしたが、先週沖縄にライブを観に行ったばかりの友人と、赤犬をよく観に行っている友人が口を揃えて言っていたので恐らくそうじゃないかと…。(追記:バンドメンバー全員赤犬だったのか!すげえ!⇒http://www.nikaidokazumi.net/live_a_01.html)それにしてもこの方はなんとも神々しい。さすが僧侶。カバー曲として歌った『真夏の果実』は最初全然原曲が分からなかったくらいに馴染んでいたし、『今日を問うPart2』はライブで見たら迫力が断然違う。かっこよすぎます。最後の『いてもたってもいられないわ』では浜野謙太(wear シャツ)も加わってました。そういや、一緒に行ったメンバーの1人は「なんか生で見ると怖いからCDで聞きたい」と言っていた。なるほど、そういう見方もあるのか。

イルリメ見るの、5年ぶりだわ〜。前回は京都メトロで見てたのに、今やAXだもんなー。すごいなー売れたなー(本人談)。イルリメ、しょっぱなに『イルリメもいてもたってもいられないわ』『イルリメのロコモーション』という、今回出演するアーティストのカバー…というか、音源にまんまラップを乗せただけの曲をするという荒技。5年前に初めて見たときもそうだったけど、1人でなんでもこなすから一種の大道芸のよう。さすが中学時代に東野幸司司会の素人お笑い勝ち抜きラジオで5週勝ち抜きしただけのことはあります。ドラム叩き語りはあるわ、自ら水をかぶって客席にダイブし、おもちゃの刀でみんなを切りつけていくし。と、話は最初に戻りまして。客をステージに呼び込んでサンプラーを渡して演奏させる、というパフォーマンスがあったのですが、今回呼び込まれた客が…私の高校時代の同級生でした。いやはや、会場内で私がおそらく一番笑っていたと思います。わざわざ名古屋からオークションでチケットを取って来た甲斐があったじゃないか。彼女はスペシャが見れないので、ちゃんと録画して送りつけてやります。嫌がらせのように。その彼女曰く「足が震えた。客席は怖くて見れなった。知らない人に名前を呼ばれた。」そうです。なんとも、ミラクルを起こしてくれるわ。

この2人を初めて見たのは、まだ結成間もない頃、もう7年くらい前だもんなぁ。そこからいろいろありましたが、まさかこんなところで、こんなメンツと一緒にやっているとは夢にも思わなかった。今回も当然エマーソン北村氏を迎え演奏された曲たち、そしてゆるゆるの兄弟MCは、イルリメがかき乱した客を見事にチルアウトさせてました。新曲の『君の犬』はよかったなぁ。次のアルバムの中で一番暗い曲だそうです。あー、やっぱりCD買おうかなぁ。

なにかが違う。セッティングの時にそう感じたのですが、それはみんなの立ち位置でした。左前に浜野、左後ろに田中、その右隣が伊藤、右前には星野という、形としては「∧」。先週、旅行がてら沖縄のライブを見たという友人曰く、沖縄のときもそのような立ち位置だったそうです。以前TV Bros.でリーダーが言っていた「みんな後ろ向いて演奏しちゃおうか」発言からなのか、浜野さんが前面という形ではなく、さらに今回は目立ったおふざけもありませんでした。『Old Old York』もなかったし。大体、浜野隊長の衣装も「おしゃれ」だったし。物足りないという人もいるかもしれませんが、オレはあり。やっちゃえやっちゃえ!ところで曲目は、

  1. トロピカル道中
  2. 慰安旅行
  3. モー
  4. テキカス
  5. 進化
  6. 電車
  7. 老夫婦
  8. 選手
  9. 生活

『テキカス』は初めて生で聞いたなー。『進化』はfromおじいさん先生(music by 浜野)です。『電車』というのは『ラディカル・ホリデー』のテンポを落とした感じの曲。ちなみに『電車』という曲名は、沖縄に行った友人がそう言っていたので、そういうことだそうです。マーティン・デニーの『Fire Cracker』に対する『Sake Rock*1』という解釈でいいんでしょうか。トロンボーンとギターリフがユニゾンするところは、今回の立ち位置のお陰なのか、浜野さんがリーダーのギターを一生懸命見ながら吹いている姿が不安そうでなんとなく面白かったり。そして『老夫婦』という新曲は、リーダーのソロCDブック『ばらばら』に収録されている『本のアウトロ』の木琴のメロディが元になった曲でした。なんだか外国の旅劇団の芝居に生演奏しているような感じだった。なんか分かりづらいな。いろいろと昔の曲を引っ張り出したり、新曲が出来てきているのはおそらく今度のワンマンに向けてだと思います。そして今回の立ち位置も。なんだか印象が変わりました。盛り上がる方向と逆行するけど、なんか聞き入ってしまう感じ。なんでしょうか、とにかく最近の曲の印象は「18世紀ヨーロッパ」な感じなんだよなー。分かりづらいけど。でも、最後の『生活』はやっぱり盛り上がる。浜野隊長の「DHC! for MEN!」というリリックが火を噴いてました。あー、ワンマンが楽しみだ。行けるかどうかまだ分からないけど。

今まで全てのステージを脇で見ていたジュンさん。しょっぱなにいきなり激アゲの『SUPER SOUL MEETIN'』で、いきなりダイブ。当然客は大盛り上がり。前方は男性陣が集合し、一気にモッシュピットに早変わり。やけになってオレもモッシュ。途中、カクバリズム創設の1人でもあるジュンさんからこの5年間の振り返りトーク。「いろいろあったけど社長に言いたい!もう5年もやってきたからには、後には退けないぜ!」と言って始まったのは『あいつによろしく』。今までこの曲はジュンさんの私小説的なものだと思っていたが、そうだ、これは角張社長のことも歌っていたのだ。この流れは悔しくも若干感動した。その後はアゲにアゲ、アウトロではシライシ次長、連れて来られた角張社長、ショーティが続々ダイブをかます。とんでもないことになってました。メンバーがいったんはけた後は当然ながらアンコール。ここでハットリさんより重大発表ということで見守ると、「結婚することになりました」。そこでニカさんを招き『関白宣言』。この流れもよかった。「既婚者の多いバンドだね(二階堂)」「落ち着かないのはこの縦のラインだけ(斉藤)」と自分とドラムのズィーレイを挙げていたのは笑った。

  • エンディング

最後は出演者全員を招き、角張社長がいとうせいこう先生の「メッセージ」をユアソンをバックに披露。この人だってアーティスト。BOYS NOWのギターボーカル、SNOTTYのボーカルだったことをすっかり忘れていました。なんだか今にも泣きそうな感じだけど、常にビールは持っている。そんな角張社長でした。最後はMU-STARSがかけるTHE SPECIALSの『Little Bitch』に乗せて全員退場。星野リーダーがスカダンスをしながら帰っていくのが印象的でした。そうそう、MU-STARSは転換時にいい仕事してました。かける曲が多彩で。

『Little Bitch』原曲がなかったのでRUDE BONESカバーバージョンを。


ホントに楽しかった。全てのアーティストにハズレなしだった。それにしても、レーベルのイベントなのに、変な身内感がなかったのが不思議だったのだが、それはきっと各アーティストのレベルの高さのせいなのだと思う。それぞれが各フィールドで独特のポジションを獲得しているからだろう。今回で確信したのは、最近のカクバリズムの勢いは、決してブームなんかではないこと。それぞれが実力あるアーティストだからこそ客が自然に集まってきたのだと思った。そんなアーティストを吸い寄せてしまうカクバリ社長の人間力にちょっと感動してしまった。かつて広告の世界に身を置いていたからこそわかるけど、ブームって言うのはやっぱり作ろうと思って起きるものなんかじゃないんだな。いいものだったら自然に起きてしまう。今後もっともっと大きくなって、日本の音楽をどんどん面白くしていってほしい。でも社長、ちゃんと休むときには休んで。あと、ちゃんと利益とかも考えてね!こんなイベントが3,150円なんて安すぎるもの。では最後に改めまして。5周年おめでとうございます!10周年はもっと大きなところでできますように!


ちなみに今回の模様は来年1月に「スペシャボーイズジャパン」で放送されます。あと、SAKEROCKは来年2本のライブ(東京ムードパンクス企画イベントピートさん誕生祭)がすでに決まっているようです。両方ともゲット済み。

*1:YMOがカバーしていることで有名な『Fire Cracker』を、テンポを落とした曲が、SAKEROCKがバンド名として拝借した『Sake Rock』という曲なのです。