「Loser's Parade」

for さえない日々

くるり『Philharmonic or die』

タイトルからして、オーケストラを従えたライブの音源が出るのかと思ってたんですよ。それだけなら「あぁ、そうですか」と流しそうになっていたんですけど、なにやらこのアルバムは2枚組で、2枚目には磔磔での音源が入っているというじゃないですか。それはちょっと気になるじゃないか、と思って聴きました。結果、「洗練されたくるり」と「土臭いくるり」が両方楽しめるアルバムでした。
★くるり
Philharmonic or die


1枚目はパシフィコ横浜での行われた、オーケストラを従えたライブ。岸田氏自身も「史上最高のライブ」だったと自信を持って公言しているもののようで、たしかにその自信も納得。「ワルツを踊れ」からの曲は、まぁそりゃそのままなんですけど、それ以外のアルバムからの曲もやってるんですよね。『GUILTY』とか『惑星づくり』とか。特に『WORLD'S END SUPERNOVA』はやられました。正直、くるりは打ち込みに走ってしまってから、個人的に離れてしまったのですが、このライブ音源は「バンド+打ち込み+弦楽器」という組み合わせで、いろいろと相乗効果を産み出してしまってました。ああ、いかん、これは認めざるを得ない。


そして2枚目は京都の伝統的なライブハウス、磔磔でのライブ音源。みんなは1枚目をものすごく絶賛しているのですが、オレはあえてこっちを支持したい。だって『夜行列車と烏瓜』『青い空』『すけべな女の子』『モノノケ姫』って、いったいいつの時代のセットリストだよ!『夜行列車と烏瓜』にいたっては、1000枚限定生産の、まだ学生だったときに発売した「もしもし」にしか収録されてない曲じゃないか!なんちゅうかこれだけでちょっと燃えた。でも一番いいのは『モノノケ姫』ですよね。まだ高校生だった時に、初めてくるりを知ったライブ映像で流れていた曲『続きのない夢の中』『君を呼ぶ(音源未収録)』、そして『モノノケ姫』。オレがいまだに大好きなアルバム「ファンデリア」に収録されている曲です。ああ、いまだにこの曲演奏してくれてるんだなぁ。京都に住んでいた、更にくるりが活躍し出したあたりに京都で音楽活動していて、周りにはくるりの関係者ばかりだった中にいた身としては、思い入れが強すぎるのです。最近はもう遠ざかっていた気がしていたくるりでしたが、結局はオレの原点ともいうべきバンドなのでした。


くるりって、もうなんかオシャレだから」と思っている人にこそ聞いてみて、郷愁をくすぐられていただきたい一品です。「現在20代後半+学生時代関西在住+音楽好き」は確実にオレと同じような気分になると思います。1枚目の観客の声がオーケストラに対して贈られるであろう「拍手」なのに対し、2枚目は関西弁丸出しの「ありがとー!」という歓声という対比も、なかなかいい。


Philharmonic or diePhilharmonic or die
くるり

ビクターエンタテインメント 2008-02-20
売り上げランキング : 442
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools