「Loser's Parade」

for さえない日々

東京の男の子/大久保ニュー・魚喃キリコ・安彦麻理絵

東京に出てきて1年3ヶ月。まだまだ慣れないこの土地ですが、徐々に地に足は着いてきました。そんなジブン、果たして「東京の男の子」になれる日は来るのか?…と、別に悩んでいるから読んだわけではなく、ただただ面白そうだからという理由で手にとってみました。この書籍は、安彦麻理絵大久保ニュー魚喃キリコという3人の漫画家が、いろいろと生い立ちやら恋愛やらをぶっちゃけている対談集。「リストカット」やら「パニック障害」やら「離婚」なんてワードがどこどこ上がってきて、内容としてはハードなものもあるのだけど、それを笑って話している風景が見えてくるので、重さが緩和されています。
地方から東京に「異常に憧れて」出てきた安彦・魚喃両氏とは違い、「思いがけず*1」出てきてしまった自分。確かに昔から東京にはなんらか憧れというものはあったが、別に「東京の男の子」になろうとは思わないなー、なんて思ってしまった。田舎者で大いに結構。でも、そのある種の「劣等感」が、この方々の制作意欲となり、表現欲求となっているのでしょう。それが、表現者と自分との差なのかもしれない。
それにしても、いろいろ経験豊富なお三方の生い立ち、特に学生時代の話を聞くのは、なんだか面白い。これはこれで、自分とあまりに違っていて一種のファンタジーのような感覚になってしまった。「高校時代にスナックでバイト」とか…って、今思い出しましたが、そういや高校中退してスナックのママをやっていた中学の同級生(当時17歳)が身近にいたことをふいに思い出しました。その女子とは価値観や背景や環境があまりにも違ってて、所謂“ヤンキー”風な感じだったのですが、なんだか仲良かった。自分では絶対に体験しないようなことを聞かせてくれて。確か翌年くらいに結婚したんじゃなかったかな?進学のために地元を離れたので、もう今は何をしているのかはわかりませんが。ま、田舎ではよくある話です。…そうか、やっぱりこれはファンタジーではなく、「よくある話」なのかもしれない。「リストカット」やら「パニック障害」やら「離婚」なんてのも、「よくある話」なのかも。とりあえず最終的には、このお三方のような人生になりたいとは思わないけど、このお三方のような関係性には非常に憧れました。何が起きても笑いとばしてくれる仲間に。あと、こんなにドギツイ下ネタトーク(とにかくクンニ連発)ってのも、傍から見ている分には面白かった。

東京の男の子
東京の男の子


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*1:ワタクシseppakuは、転勤のため2007年6月に東京にやってまいりました。その会社は辞めちゃったけど。