「Loser's Parade」

for さえない日々

「Kilima-Njaro Express」@新宿Motion

浜野謙太+伊藤大地の別バンド、Killing Floorのライブを久々に見に行った。いや、それは建前であり、本当はその対バン相手である「内核の波(ないかくのわ)」というプログレインストバンド目当てで新宿歌舞伎町に雨の中繰り出した。
雨の影響で遅れてしまったため最初のバンドは見られず、ついたらちょうどKilling Floorがセッティングしている最中。久しぶりに見る浜野隊長、バカンス帰りの伊藤名人。ビール片手に拝見しました。Killing FloorはCDは2枚持っているものの、昨年2月の渋谷クアトロ以来の2度目。しかも今回は結構狭い場所だったので、かなり近くで見ることができた。打楽器3名、管楽器3名、ベース兼ギター的ポジション1名の相変わらずな重厚さ。SAKEROCKとは違い、Killing Floorはアドリブもかなり入ってくるジャズ要素の高いインストバンド。打楽器がドラム+パーカスドラム+パーカッションの3名もいるためにリズムがかなり重い。更に唯一の弦楽器が「チャップマン・スティック」というベース+ギターを一緒にした10弦で構成されているもので非常に珍しい。そこにサックス+トランペット+トロンボーンの3管がときにユニゾン、ときに各ソロを吹き倒す。見た目だけでもかなりのインパクトがある。なかなか見られない浜野隊長のジャズ魂や伊藤名人の攻撃的なドラムも見どころながら、今回はチャップマンスティックにばかり目がいってしまった。だって、この楽器、絶対弾くの難しいですよ?例を出すとこんな感じ。

基本、ずっとタッピング。ギターで言うとずっとライトハンド(ピックではなく左手に加えて右手でもフレット押さえる奏法)をやっているようなもの。面白くて見ていて飽きませんでした。ちなみにMCではリーダーのピートさんが「どうなってんだのっち!年会費返せ!」とのっちファンの思いを代弁していました。わかるよ、その気持ち…。ちなみに浜野さんはその事実を知らず「え、フライデーされたんですか?…かしゆか?」と答えてました。そのため?演奏は非常にアグレッシブに。7月にはKiiling Floor主催のイベントがあるようで、出演バンドで各1名がDJを担当するそうですが、Killing Floorからは伊藤名人が執り行うとのこと。伊藤名人が好きな方は是非ともチェックを。ちなみにオレはMUDDY WORLD(在日ファンクでベースを担当している村上氏が所属するバンド、過去にTzadikからリリース経験あり。とっても神経質なインストバンドです。)がとっても見たいので見に行くつもりです。

さて、いよいよ今日のお目当てである内核の波。事前情報はYOUTUBEでのこの映像しかない。

「ロックだぜ!」を合言葉に、ひたすらアホで熱い音楽を追求した『はみ出し系その他バンド』内核の波(ないかくのわ)。

リリカルな「静」の部分とテクニカルな「動」の部分の対比が魅力的に調和したサウンドに、絵と映像と弁当と伊藤園のイメージが加わり、緩急自在に表情を変えながら聴き手を翻弄するかのように展開してゆく臨場感溢れる演奏が持ち味。音と映像のイメージ空間を創りだす事をテーマに、歌詞の代わりに映像を付随させることで作品創りの上でも絵から曲を創ったりアレンジしたり、曲から絵を生み出したりと、絵と音を行き来して鮮度抜群な表現方法を楽しみながら、ジャンルやカテゴリーに捕われる事なく、常に進化し続けるバンドである。
公式サイトプロフィールより

プログレインストバンド。衣装は白衣。演奏中におもむろに何かを食べ出すパフォーマンスを行う。これで興味を持たないわけがない。セッティング中もバンドの後方にはひたすら「お茶、ロック、内核の波」が映し出される映像。確実に飛び道具担当であろうキーボード(食担当)はムーグやらオルガンやらもあってものすごい鍵盤や機械の数。リーダーであるベースが「持ち時間を間違えてまして…セットリスト短縮バージョンで行います」と話して始まった演奏は実に重厚で技巧派。これぞプログレインストバンド。技巧派のギター、ベース、ドラム、キーボードの中に、更に場違いかのように綺麗な女性がフルートを吹いている。この絵ヅラ、完璧です。完全にマッドサイエンティスト集団。このフルートの女性が更に知的レベルを向上させるがごとく、とてもいい味付けをしてくれます。海外のフェスにも呼ばれる実力はさすがでした。
今回は時間短縮のためMCはなしということだったのですが「これだけは外せない」ということで突如キーボードの方が前に出てきて、なんと伊藤園の商品アピールを行い出す。このバンドのアー写でもやけに伊藤園のお茶を押しているので疑問に思っていたのですが、その謎が解けました。なんとこの方、伊藤園の社員で営業担当だったのです。「新規自販機設置担当になって早2ヶ月。5月は実績が0で死ぬほど怒られました…。すいません!ここのオーナーさんいらっしゃいますか!?名刺交換だけでもさせてください!平日はこの辺回ってるんでいつでも来ます!」と営業トークが始まったときには爆笑すると同時に「ああ、その気持ち、わかる…」と、前職(営業時代)の辛かった思い出が甦って切ない気持ちになりました。「お中元に伊藤園はいかがでしょうか。今回のチラシの中に伊藤園のものも混ぜておきました。そちらに記入してFAXいただけてば、後日ご連絡させていただきます!」なんて営業だ!一気にこのバンドと伊藤園の好感度がアップしました。
営業トークも終わり、最後の曲に。順調に演奏が続いていたものの、ここぞ!というときになんと電源が落ちてしまうアクシデントが発生。ドラムとフルートの音だけになってしまうハプニングが発生してしまいました。しかしそんな出来事もうまく活用し逆に盛り上がりました。これで最後の曲だったために演奏は終了してしまったのですが、やはりこれでは済まないとアンコール発生。そしてアンコールは冒頭に映像を貼った『Please!!』を演奏。この曲は短縮のためにセットリストから外れたもの。しかし、普段はここで食のパフォーマンスが行われるはずだったのですがセットリストから外してしまっていたため、なんともうご飯を食べてしまっていたそうです。「なんとかします!」ということで始まると…なんと食の代わりに客に伊藤園の名刺を配り出した!スゴい!なんだこれ!おもしろすぎた!こうしてなんだかとっても情報量が多いままライブは終了しました。
次回は10月までライブがないとのことですが、そのライブのゲストには前日に残念な結果となってしまったドラびでおがいるとのことで、10月のライブに行こうかと思います。それにしても、まだまだ知らないけど面白いバンドっていっぱいいるなー、と思った次第なのでした。