「Loser's Parade」

for さえない日々

吾妻光良&The Swinging Boppers@渋谷クラブクアトロ

アマチュアバンドの究極形、吾妻光良&The Swinging Boppersを見に行きました。吾妻光良トリオは一度拝見したのですが、バッパーズは今回が初めて。ものすごい楽しかった!
今回は結成30周年ということで「阪名東」ツアー(3カ所回るのに数か月かかった)の最終日。客層はかなりバラバラ。だけどやはり自分より年上が多かったように思います。開演の18時を10分ほど過ぎたところで吾妻さん以外のメンバーがぞろぞろと登場。演奏を始め、各自のソロが終わるとダブルネックギターを持った吾妻さん登場で会場は盛り上がり。しょっぱなに『最後まで楽しもう』『やっぱり肉を食おう』と勢いのある曲を連続で演奏されて一気に気分は高揚。頭は薄く体型は太く、赤ワインを飲みながらしゃべる姿は芋洗坂係長を彷彿させるお姿なのに、ギターを弾いて歌い出したら途端にものすごくかっこよく見えるのがとっても不思議。しかも大手企業の社長さんなのに「今日は衣装のシャツを忘れてしまったのであわてて近くで買った500円のシャツを着てます。生地が薄くて乳首がすけちゃう」なんてお話も。素晴らしすぎる。「今日は涼しげな曲を中心にやります」と言った途端に客席から「刈り上げママ!」と掛け合いが起こっていたけど、それだけ今回のワンマンには常連客が多かったということか。30年もやってるとライブの雰囲気も和やかです。
今回のライブは2部構成になっていて、後半1曲目はなんとキングクリムゾンの『クリゾンキングの宮殿』のカバー!まさかのクリムゾンカバーに上がっていると「♪クリムゾン・キングの宮殿で夜なべして〜」というなんとも秀逸な訳詞を歌って場内大爆笑。吾妻さんの魅力は作詞、訳詞のセンスもあります。『学校出たのかな』『おまえ誰だっけ』なんていう老いていくことに対しての憐みを明るく歌い飛ばしてみたり、ジャズやブルースのスタンダードを自分流にアレンジして独特の憂いを含ませることにおいて天才的だと思う。また、歌詞もそのときどきの世相を反映してアレンジしてみたり(「♪パソコンなかなか立ち上がらない〜Vistaだから〜」とか「♪辞書を読んで気がついた〜“みぞうゆ”じゃなくて“未曾有”だ〜」などなど)。また、歌詞がはっきりと聞こえるような歌唱方法(もしくは音響のセッティング)なんで、その含まれたメッセージがダイレクトに伝わってくる。お茶目なパフォーマンスもあるし、エンターテイメントとしてはかなり上質なものだと思う。ちなみに途中でゲストとしてLeyonaが登場し、一緒にLeyonaの曲や『サイレント・ジョージ』、ジャズのスタンダードを歌っていましたが、吾妻さんが「ブルース好きおじさん殺し!」と褒めつつメロメロになっているのが面白かった。
結局途中休憩やトリプルアンコール含めて3時間。最後はカリプソ定番曲を『福田さんはかっこいい』というタイトルの歌詞を乗せた歴代首相褒め殺し曲で爆笑させていただき解散となりました。また見たい!今年はフジロックやライジングサンにも出演するという、例年になく活動的な年なので、機会があったら絶対に見るべきです。
ちなみに…名古屋ではサケロックの『やおや』に歌詞をつけて演ったんでしょ?(「♪野球帽をかぶってる〜ファンキ〜」という歌詞を乗せたらしい)それすんごい聞きたかった!「そのあと星野君に『なんでやおやなの?』って聞いたら、『うちのおじさんがやおやで…』って言ってて(適当なイメージの歌詞を書いたことに)慌てて謝った」なんてエピソードを披露してました。