「Loser's Parade」

for さえない日々

KAIKOO POPWAVE FESTIVAL '10 (4/10)

いろいろなことが起きた一日でした。

KAIKOOというフェス、実は今年初めて知りました。存在を知ったのはTwitterにて。いくつか回を重ねているようだが、今回はかなり大きな規模でやり始めたらしい。そしてなにより出演者の豪華さと近さ、そしてチケット代の安さに惹かれてついつい早割で通しチケットを入手しました。
それにしてもTwitterを利用してからというものの、こういうフェスのときは便利です。なにせ、行く前から会場の現状がリアルタイムでどんどん流れてくる。電車の中からさっそく情報を見たところ、「勝どき駅からの無料バスが混んでる!」「チケット引き換えに長蛇の列!」というなんとも出鼻をくじかせてくれる出来事が。こういうテンションの下がる出来事が事前に知ることができると、ある程度の心構えができるためにちょっとダメージが軽減されますね、行って知るより。というわけで現場からの情報で知っていたのである程度構えはできていたのですが、それにしてもチケット引き換えのあの行列はちょっとなー。若干運営側に問題があるんじゃないか?としょっぱなからイライラしてしまいました。…が、それはライブを見るにつれてすっかり忘れてしまいました。あ、ただ入場のときに「飲食物持ち込み禁止」っていうのにはイラっとしたかな…。だって、(なぜかフェスなのにドリンク代取られて)ドリンクチケットもらって、受付すぐにフードコートがあって、ドリンク引き換えて、それ持って中に入ろうとしたら「持ち込みダメ」って何それ!?…あ、もう止めておきます。
本当は曽我部恵一BANDを見ようとしてましたが、間に合わずWRENCHから。WRENCHの名前はAIR JAM世代である自分にとっては当然知っている。のだが、実はライブも見たことなけりゃ、音源も持っていない。「昔はハードコアだったけど、確かエレクトロも取り入れだしたんだよな?」「あとSHIGEさんはよくスペシャのネット放送『DAX』に料理作りに来てたな」くらいの知識しかなかった。しかし…これが最高でした。運営方法に若干イライラしていたのだが、完全に吹き飛んだ。久々に轟音の波に飲み込まれてすごく気持ちよかった。あと最近はわりとおとなしいライブばかり行っていたので、モッシュを間近で見たのも久々だった。
続いてソウルフラワーユニオン。やっぱりこれは見とかないかんでしょう!ということで、実は初めてライブを見た。っていうか、ソウルフラワーすげーな!盛り上げ方が半端なかった。老若男女が踊りまくり。このような音楽性なのに、いや、だからこそ万人に受け入れられるのかもしれない。曲を知らなくても全然問題なかったです(『満月の夕』など知ってる曲ももちろんありましたが)。そういや伊丹英子さんって今はモノノケ・サミットに専念してるんですね。コーラスが桃梨の上村美保子さんでした。
そして、BEYONDS。ニカさんが裏でやっていたのが苦かったのですが、fOulが大好きだったオレは、変態谷口を見れるのが嬉しかった。更に、ナンバーガールが我が青春だったオレは、アヒト・イナザワがドラムを叩いている姿が見れるのが観劇だったのでした。ようやく見れたfOul。もうね、見てよかったです。オレは昔の、解散前のBEYONDSのことを一切知らない。昔を知る方は「全然違う!」と拒否反応を示している方もいるらしい。しかし、fOulから好きになった自分としては、つたないギターを弾いていない谷口さんが新鮮だった。ちなみにこのBEYONDSKen Yokoyamaとの熱き話は横山健のコラムをご参照。
さて、このライブ中、個人的にびっくりしたことが起きた。客がそこまでぎゅうぎゅうではなかったため、すんなりと前のほうに行けて、感動しながら見ていたのですが、途中で隣になんだか見覚えのある男の顔が。いや、あれ?もしかして?でもそんなわけない。ライブ終了後、その男はこっちを向いて「お久しぶりです!」と語った。それは、京都にいるはずの大学の後輩だった。話を聞くと、このイベントのあまりのメンツの良さに、深夜バスに乗り込んで京都からやってきたとのこと。「いやー、僕も『見たことあるなー』なんて思ってたんですけど、BEYONDS見てるからseppakuさんだって確信しましたよ!」実に、5年ぶりの再会だった。この後輩は、今でもバンド活動を続けており、最近はSuiseiNoboAzと対バンをしたらしい。大音量が鳴り響くフェス会場の中、満足した会話もできずに別れてしまったが、fOulナンバーガール、その前のWRENCHなどと10年前を回顧していたところに起きたこのシンクロに、驚く他なかった。まさに邂逅だった。
mouse on the keysは+αとして灰汁と中村圭作(kowloon,stim)が参加していた。灰汁の演説がどうしても自分に合わなかったのと、裏でユアソンがやるのが気になってしょうがなかったため、ユアソンへ移動。ユアソン、実は久しぶりに見たのですが、「うわー、やっぱりライブバンドだ!」と素直に感動するくらいによかった。「B.A.N.D.」からの割とメローな曲から始まったものの、徐々にヒートアップ。そのテンションの高さは、ベースの弦が切れてしまうほどで、ベース弦張替の間は『あいつによろしく』スローバージョンで乗り切ってました。しまいには『ブガルー超特急』でモッシュ・ダイブの嵐。モーリスがクラウドサーフしながらギター弾く一幕も。このライブを見て「あー!なんで年末の超二日間行かなかったんだ!neco眠るも出てかなり気になってたのに!」と後悔した。『THE LOVE SONG』、生で聞くと一段とサビがいい。
ここでしばらく休憩を挟み、toeへ。このころには一番広いステージでも結構人が集まってきて、すんなり前には行けないような状態になってました。相変わらずのストイックな演奏に夢中でしたが、一番感動したのは学生時代の思い出の曲『Leave World』を演奏した瞬間でした。イントロの時点で泣きそうだった。この曲は今から7年前の学生時代、先輩がやっているバンドの出囃子として流れていて、その先輩に「これ、誰の曲ですか!?」と聞いたのがtoeを知るきっかけだった。特にこの『Leave World』は今でも大好きで、コピーをやろうとしたもののドラムが「こんなの叩けるわけないだろ!」と放棄したために断念した曲。ここでもまた、学生時代を回顧する出来事が起こったのだった。ここでも邂逅が起きたのだ。
さて、時間は少しさかのぼって休憩時間だが、Twitterを眺めているとTL上でKAIKOOに来ている人と人との交流を垣間見た。うわー、いいなー、と思いつつもネット弁慶の私はどうしても自分から言い出せず、仲間に入れなかった。そもそもmixiにしろこのブログにしろ、ネット上で交流はできても実際に出会った方なんて、ブログ続けて6年になるが、片手で足りる。その感情をついついTwitterで吐き出してしまったのだが…なんと「会いましょう!」という方が出現!そしてtoe終りについに自分のフォロワーと会うことに成功。何故だか無駄にフォロワーが多いが、実際に面と向かうことができるだなんて思わなかった。「所詮全部BOTだ!」と自分に言い聞かせていた。でも…やっぱ生身の人間だったんですよね。こちらで改めて、お声がけいただいてありがとうございました、とお礼を申し上げます。なんだか、今後は積極的にリアル社会で交流をしていきたい!と思った出来事だった。DJ BAKUが盛り上げる中、変に高いテンションになってしまったのが心残りだった。
場所を移して、最後はいとうせいこうを生で見ようと思っていた。が、すでに降神のアクトの時点でテントステージは人で溢れかえっていた。それでも無理やり後ろの方に潜り込み、いとうせいこうを待つ。しばらくのセッティングチェンジの後、ついにいとうせいこうとDUB MASTER X、そしてキーボード奏者が登場。あまりの人の多さで全然ステージが見えないため、どのような状況になっているのかが分からなかったが、静かに『ミャンマー軍事政権に抗議するポエトリーリーディング』が開始される。この時点で凄かった。演説もすごけりゃ、リアルタイムでエフェクトをかけるDMXもすごかった。バラエティー番組でのいとうせいこうの姿を期待していたであろう観客が次々に断念して良く姿もご愛嬌。10分以上の演説の後、いきなりパーティモードにチェンジして、『噂だけの世紀末』!昨年末にこのコンビでライブをしたというのを以前記事に書いたけど、それを生で見れて感激しました。そして一気に畳み掛けるかのごとく『マイク一本』『ヒップホップの初期衝動』、そして『東京ブロンクス』。物凄かったです。なかなか見れないライブなので、本当にこの時見ておいてよかった。そしてこの奇跡的なライブアクトのせいでアンコールが発生。フェスでアンコールはなかなか難しいのですが、トリだということもあり特別措置でアンコール。『ボディブロー』を少々、そして「なんでもいいからビートをください。なんにでも合わせます」と始まった『ヒップホップの初期衝動 DMXビートver.』。凄かった。本当に。ポエトリーリーディングから一気にオールドスクールを畳み掛ける構成には完全にやられました。


いくつかの邂逅、そして新しい出会い。それがこの日の出来事でした。