「Loser's Parade」

for さえない日々

GRAND ! FRESH@代官山UNIT

GRAND FUNK」というCM音楽制作プロダクションの20周年イベントだったんですね、このイベント。とにかく「アイゴンが加入した後のHiGEが見れる!TUCKERが見れる!なにより相対性理論が見れる!」と思い、駆けつけました。それにしても代官山という土地は相変わらずUNITへライブを見に行く機会がない限り寄り付かないなー。ちなみに23時から始まったトリのThe SAMOSSBKのShigeo率いるバンド)は時間の都合上見られませんでした。あしからず。
はじめはTUCKER。ずっとライブで見てみたいと思っていたんですけど、本当にライブで見れてよかった。一般的にはエレクトーン奏者ってくらいの認知なのかもしれませんが、全然それどころではない、ものすごいエンターテイナーでした。ターンテーブル、ベース、ドラム、ギター、ときには一斗缶、そしてエレクトーンを自在にあやつり、サンプラーだかループだかを駆使して一人でバンド演奏を始める。こうしたパフォーマンスが、まだまばらで様子を伺うような感じで見ていた観客を徐々に引き寄せて行く。それにしてもTUCKER、芸が細かかった。ラテンの名曲『テキーラ』のときには、あの「テキーラ!」って掛け声のときに鍵盤を持ち上げ、裏に書かれた「テキーラ!」という文字を掲げる。確かベースの裏にも「拍手!」とか書いてあったような気がする。横山たかし・ひろしか。その後も客席乱入、エレクトーンの上に倒立、エレクトーンにジッポオイルを撒いて炎上などなど、フルテンションで突っ走っていきました。ちなみに一番感動したのは…ドラマ版「アキハバラ@DEEP」のオープニングテーマでもあった「Swan Lake(白鳥の湖)」を演奏したところでした。一気にあのオープニングがフラッシュバック。
続いて近頃アイゴン(會田茂一)が加入したHiGE。ちなみにアイゴンはこのGRAND FUNK所属らしいです。というわけで、アイゴンばかり見ていたのは許してください。アイゴン使用機材はダンエレクトロの赤いギターと12弦ギター、そしてアコギだったのですが、アイゴン=モズライトというイメージだったので「これは3本目のギターとしてHiGEに加入した結果なのか?」などと妄想。そうそう、アイゴンが入ったおかげでHiGEはギターが3本になったのですが、アイゴンの役割としては主に装飾担当というか、例えばアイゴンの代表的飛び道具のトーキング・モジュレーターであったり、元々あるギターリフをはもって見たり、12弦ギターを活用してみたり…という印象でした。あ、そういやツインドラムのいつもやる気なさそうに叩いてる方が、主ドラム担当となっている曲(その間、長髪ドラムのほうは鉄琴を担当)などがあったりと、しばらく見ないうちに様々な変化がありました。それにしても相変わらず女性ファンが多い。
3番目にASA-CHANG × 畠山美由紀 × 高田漣サケロックオールスターズからサケロックを引いて畠山さんを入れたこの編成は、畠山さんが名づけるに、「ASA漣畠(あされんばたけ)」だそうで。今回初めて3人一緒にやるトリオ。今までのテンションの高い演奏から一転、ギターとパーカッションだけのとても落ち着いた演奏。そういや漣さんがペダルスチールじゃない楽器を演奏しているのを見たのって初めてかも。畠山さんの美しい唄が会場内に響きわたりました。
そしていよいよ相対性理論。以前見たのが渋谷のAXで、後ろの方で見ていたので顔などがほとんどわからず。今回は会場もそこまで大きくなく、更に割とすんなり前方に行けることができた。近頃発売された「シンクロニシティーン」がかなりよかったので期待をして見ていました。2度目のライブ鑑賞で確信したのですが、このバンド、ライブに弱い。演奏が安定していないと思うのです。特にギターが、音源では印象的なリフを引き続けて「かっこいいなー」と思っていたのですが、ライブを見ると、どうしても「技術が足りていないのに無理して弾いてる」姿に映ってしまうのです。音源の完成度、または世界観の完成度が高いだけに、全体的な演奏力の低さにがっかりしてしまいました。やくしまるえつこは、あのままでいいですけどね。あの人はうまいとかへたとか、そういうのは特に関係ない。1枚目の音楽性だったならばいいのですが、2枚目、3枚目と、スマートなところを出しているからには、どうしてもここが気になってしまった。
演奏力がないから悪い、とは思わない。歴史を(浅いけど)振り返ってみると、フリッパーズ・ギターだってライブは酷かったと聞くし、スーパーカーだって出てきた当初はいっつも「演奏力がない」と音楽雑誌で酷評されていた。だけど、二つとも自分は好きなバンドだし、その当時だって評価を得ている。確かに「ライブは…しばらくはいいかな?」「ワンマンに行こうとは思わないけど、今回のような対バン形式なら今後も行こうかな?」と思ったけど、音源はこれからも期待したい。というわけで、演奏した楽曲は『シンデレラ』『(恋は)百年戦争』『ペペロンチーノ・キャンディ』『小学館』『人工衛星』『テレ東』『スマトラ警備隊』『ミス・パラレルワールド』。新しいアルバムからが中心ながらも、1枚目、2枚目からそれぞれ1曲ずつやってました。ちなみにいつものやくしまるえつこのMCは「取れないよ、ボンドでくっつけたから」「江戸っ子、上京する」。