「Loser's Parade」

for さえない日々

ドラマ版「モテキ」スタート

この夏、普段は一切ドラマを見ることのない自分が、嬉々としてドラマを楽しみにしています。まずは「うぬぼれ刑事」。クドカン脚本、磯山晶プロデューサーコンビの黄金コンビによるこのドラマは、とにかく細かいネタが盛りだくさん。そして「宇宙犬大作戦」は戸次重幸+片桐仁の深夜版クイズショウコンビ。TEAM NACS+ラーメンズという、自分にとっては夢のタッグで、とにかく「シゲ…北海道でやってきたことは全然無駄じゃなかったんだね!」と言いたくなるようなコメディです。そして月末には三木聡オダギリジョー時効警察コンビによる「熱海の捜査官」。松尾スズキ久々の連続ドラマレギュラーにも注目なのです。
そして、個人的に一番楽しみにしていた「モテキ」が放送されました。もちろん大根仁演出という、始まる前から太鼓判を押されたようなものだったので、自然と期待値は上がっていたのですが…すごい!なんだこれ!
原作のマンガでも随所に、時にはキーとなるのが「音楽」なのですが、このドラマは音楽好きな我々に取って訴えかけてくるものばかり。まず、始まって1分もしないうちにものすごい情報量が怒涛の波のように襲いかかるのが、主人公である「藤本幸代」の部屋。この部屋の情報量がとにかくすごい。まずは大根さんが以前テレ東で手がけていた「30minutes」のポストカードが並ぶ中、なんとフジファブリック志村正彦のファン向け告別式「志村會」の時にもらえた志村正彦のポストカードが飾られている!そして部屋の中に飾られたアナログレコードの中には、SAKEROCKの「songs of instrumental」があったことをもちろん私が見逃すわけがありません。CDラックで面出しされたのジャケットにはYOUR SONG IS GOODの「B.A.N.D」、eastern youthの「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」、そしてフィッシュマンズの「空中キャンプ」!うわ、幸代のケータイの待ち受け画面がスチャダラパー「11」のジャケット!そして幸代が着ているTシャツはYOUR SONG IS GOOD!そしてオープニングテーマはフジファブリックの“新曲”「夜明けのBEAT」!もっと目を凝らせばいろんなものが浮かび上がるとは思うのですが、いかんせんこれが限界。ちなみにここまでたった5分。その後も出てくるキーワードは「タイコクラブ」(このチョイス、渋い!)、「TOKYO No.1 SOUL SET」、ダイノジが主催するDJイベント「ジャイアンナイト」、そして反則なほどの大ネタ「オザケン」!ひとまず、一応音楽が好きだと自称している自分ですから、このドラマに反応せざるを得ません。
もちろん、音楽の知識がたとえなくても通用する演出は盛りだくさん。手始めにこのドラマの中心となる幸代のモノローグ(心の声)が情けないし、笑えるし、ドキッとする。あと、女の子がとにかくかわいい!エロい!自室のシーンの太ももと谷間!フェス仕様の土井亜紀の可愛さは「オレ、フェスでこんな可愛い娘と喋ったことなんてない…」と、なぜかムカつくほど。あ、土井亜紀と会うシーンは、映画「(500)日のサマー」を彷彿とさせる…というか、絶対意識されてますよね?好きなアーティストの話で盛り上がる+コピー機の前ってシチュエーションが。原作でもあの会話はコピー機の前だったけど、更にバージョンアップされているというか。そして細かいとこにくだらないことを詰めてる!タイムマシーンがダンボール製!15歳の幸代が「ときメモ」でシコろうとしてるしやたら顔射に執着!そして大江千里格好悪いふられ方」カラオケビデオ!最後にはホラーかってくらいの流血シーン!ツッコみたいことは山盛り。


さて、このドラマ、自分はマンガで読んだ時から「ああ、このマンガ、どん底の25〜26歳のときに出会ってなくてよかった…!」と叫びたくなるほど、胸が苦しくなるシーンばかりだったのですが、改めて自分と重なるところが多くて死にかけました。ええ、フェスはずっと1人参加の自分ですから、「馴れ合ってる奴ら死ね!」は当然思ってました(北海道まで1人で2度ほどライジングサン参加のために行ったけど、当然現地では誰ともしゃべらず、仲良くなんてならず、というか仲良くなる方法が分からなかった)。救いだったのは、幸代のように、あそこまで人の目を見ないことはなかったはず。あと、もうちょっと話を盛り上げようとはする…か?とにかく、見ていてわかるように、幸代という人物はとにかく「受け身」。あー、共感するなー、なんて思っていましたが、身近な女性に聞いてみると逆に「土井亜紀の気持ちがすごいわかる!」という意見を聞きましたので、見る人にとって捉え方は千差万別でしょう。ただ、なにかしら不器用な人間が見ると、必ず何か心に引っかかる作品だと思います。まぁ、それと関係なくとにかく奇天烈な演出なので心に否応なく引っかかるかも知れませんが。
こんなドラマに、中盤にはキーマンとして浜野謙太が登場するんですよね…。大丈夫なのか、と勝手に心配になってきました。あ、そういや土井亜紀役の野波麻帆って「未来講師めぐる」では江口秀夫(エロビデオ)役だった星野源が惚れる役(元AV女優の役)だったんですよね。そして今回「モテキ」ではハマケン(オム先生)が野波麻帆(土井亜紀)に惚れるという…。なんたる偶然。
そういや携帯公式サイトからリンクされている「aja」という携帯サイトにて、出演者インタビュー動画が配信されているのですが、そこで森山未來が「この回で使用する曲の件で、大江千里さんや小沢健二さんに直接承諾を得たそうなんですが、おふたりとも楽しみにしているとのことだそうです。」と言ってました。オザケン、見てるの!?…って、今、ニューヨークだよね。だから少なくとも大江千里はこのドラマを見ているかもしれません。