「Loser's Parade」

for さえない日々

SAKEROCK “東京キネマ倶楽部” 祝10周年!!

4年目の年末恒例行事はドタバタでした。


2007年から年末に開催されて最早恒例となったキネマ倶楽部でのSAKEROCKライブ。今年は先に12/26での赤坂ブリッツでのライブが発表になっていたのに加え、12/5に星野源ソロでキネマ倶楽部ライブが開催されたために「あれ?今年はSAKEROCKではやらないのか?」などと思ってたのですが、今年も慣行。カクバリズム公式によるとキネマ倶楽部でこういった音楽ライブが開催されるようになって今年で10周年ということだそうです(先駆者はEGO WRAPPIN'、参照:カクバリズムニュース)。毎年欠かさず足を運んでいるのですが、毎回趣向を凝らした演出が見ものなのですが、今回は4人だけで制作したアルバムが出たばかりの為、4人だけの出演者でいたってシンプル。それでもなんだか特別感があるのはきっと会場のせいだったのでしょう。

開演後、星野リーダーがギターを持って一人で登場。あれ?他のメンバーは?と思うと周りから笑い声が。ふとステージ下手側にある階段を見ると…3本のスタンドマイクの前にメンバーが。そしておもむろにリーダーが弾き出したのは『インストバンドの唄』。この演出、「songs of instrumental」発売直後のライブでやってたヤツだ!あの頃と違うのは、伊藤名人の口笛が足されたこと。ひたすら無表情で(伊藤名人は途中で笑っちゃってましたが)歌い続ける3人がとことんシュール。エンディング近くになるとリーダーの独唱となり、他のメンバーもステージに降り立つ。そんな感じで始まりました。


まずは定番曲『慰安旅行』。この曲は最近は1番目に演奏することが多いので、あのイントロを聴くと「ライブが始まった!」というわくわく感に溢れる。そして続けざまに『菌』。本当にこの曲は盛り上がる。まずCDと違ってドラムから始まるのがかっこいい。途中の勢いが増すパートがかっこいい。このときのハマケンのボーンがかっこいい。このときのハイハットを両手で刻みながらスネアを叩く姿がかっこいい。ベースとギターのユニゾンフレーズがかっこいい。そんなかっこいい尽くしの曲を終え、続いて『モー』。この3連続は近頃のセットリストの定番。「YUTA」に入っているものとはアレンジがかなり異なっていて、ちょっとトリッキーなギターのリフから始まる。ところでこのリフって前はベースとユニゾンしてたのに、いつの間にかギターのフレーズを4拍遅れでベースが追いかけて輪唱みたいになっている。気がつくとアレンジがどんどん変わっちゃうのがSAKEROCK


ノロウイルスにかかったハマケン、最近「聞いてくれている人に伝えることを意識して」ラジオでは大きな声で話すようにしている田中名人、そして「赤ちゃんのうんちみたいな匂い」だとリーダーにばらされた伊藤名人、そして星野リーダーと無駄話を挟んだメンバー紹介が終わり、リーダーが「ちょっと向井(秀徳)さん風に言ってみます」と宣言。何かと思えば「…ドラムス!ダイチイトウ!」のコールで伊藤名人のドラムロールが始まる。ここからジャーン!って「OMOIDE IN MY HEAD」(ナンバーガール)でも演奏するのかと思ったら、『穴を掘る』へ。そうそう、そういやこの曲も以前から前奏に長めのドラムソロが加わったアレンジに変化してたのでした。そして続くは『老夫婦』。星野ソロでは歌詞ありで歌われているこの2曲を改めてインストバージョンを聴くのは「一粒で2度おいしい」という昔のおかしのキャッチコピーを引用させていただきたい気分。次に演奏された『ちかく』はライブで聴くのは久しぶりな気がする。この曲は最後の終わり方がいいですよね。シンバルの「バシーン!」でちょっと尻切れっぽく終わるのが余韻を残してて。


ここでリーダーがアコギに持ち替えてアコースティックのコーナーへ。まずは『モズレア』。「YUTA」に収録されているものとはこれも大分アレンジが違ってて、この曲をライブで初めて聴いたときはこの曲が『モズレア』だってわからなかった。ゆったりとちょっと大人っぽい曲は、アコースティックスタイルに非常によく似合っている。この曲が終わると田中名人がコントラバスの弓を持ち出したので「もしや?」と思ったら久々にやってくれました『エイト・メロディーズ』。この曲、浜野独奏パートで毎回ドキドキするんだよなー、ミスるんじゃないかと思って。はい、今回も当然ちゃんと完奏されました(若干ギリギリだったようにも聞こえましたが)。そしてアコースティックコーナー最後の曲は「慰安旅行」に入っている『Green Land』。音源とは違い、リズムを揺らして演奏するので、なんだかゆらゆらと迷宮に迷い込んでいくような感覚になる。でもこんなに揺れてるのにちゃんと聴いていると、テンポは一定でキープされてるんだよなー。


ここでアコースティックコーナーは終わり、今度はリーダーがアコギからテレキャスター・シンラインに持ち変える。今度は一気にロックモードに突入。最初に演奏されたのはアルバムタイトル曲の『MUDA』。音源を聴いてからライブで聴くと一緒に「あーあーあああーあー」と合唱したくなるし、いわゆる「ライブ感」というのが加味されていてもっとかっこいい。ところでこの曲の途中、珍しく田中名人が演奏ミスを連発。演奏後に明らかに落ち込んでガッカリしている姿を見て慌ててリーダーが「わ…わかった!アンコールの時にもう一回やろう!」という約束が交わされることに。少し笑いながら「続いて!『Green Mockus』!」と曲紹介をして魅惑の田中プログレ曲へ。高いポジションにカポを付けているので終始キラキラしているギターコード音と、途中に急に挿入されるリフが今までのサケにはなかったもの。そしてこの勢いで『Goodbye My Son』へ。ドラムのシンバルミュートがキメッキメで気持ちいい。


エレキギター楽しい?」とハマケンに聞かれて「楽しいよー」と答えるリーダー。話題は高校時代の話に。「ギターってストラップを長くするか短くするかの両極端だったよね」という話から、高い位置でギターを弾くトム・モレロ属するRage Against The Machineの話へ。ライブで『トロピカル道中』をやるとエンディングはミクスチャー調に変化し、ハマケンのハードコアラップが炸裂するのですが、「そういやレイジのリフを混ぜてたね〜」なんて話から、「ちょっとやってみる?」と、Rage Against The Machineの『Bombtrack』を弾き出すと、それに合わせてハーコー浜野が吠える!…という悪ふざけをしていました。「これだったら信長もできるんじゃない?」ということで急遽『信長』も披露。テレキャスのおかげでかなりエモな『信長』になりました。なんだかこの悪ふざけの雰囲気、久しぶりだなー。


この勢いを演奏に繋げようと曲に入ろうとするも「…ちょっと待ってよ。休憩させてよ〜」と悪ふざけで体力を消耗しているハマケン。そして披露されたのは『WONDER MOON』!バナナマンのライブ「WONDER MOON」のために制作された浜野曲はライブで聴くとこれがちょっと音源よりもテンポが早くなっていてすごくかっこいい!吹きまくるトロンボーン!後半からの怒涛のドラム!『菌』に並んで勢いのあるライブ曲が誕生ですね。「荒城の月」フレーズも冴える。そしてそのまま『FUNK』へ。粘っこいテンポのこの曲は、途中にドラムだけになるパートがあるのですが、ここでハマケンが在日ファンクでしたためたファンク魂を披露。小さい声で「ファンクファンクファンク…」と粘っこい歌唱法でスキャット。途中リーダーから「もっとカヒミ・カリィっぽく!」というムチャぶりにウィスパーボイスとはかけ離れた気色の悪い囁きに場内爆笑!この曲は今後ネタコーナーがある曲へと昇華されそうです。ロックコーナーの最後は『URAWA-City』。この曲、途中にギターだけが繰り返しフレーズを弾いていて、他の楽器はアドリブっぽくテンポも何もかも自由に暴れる箇所があるのですが、ちゃんと決めるところは決めて、あんなに暴れ倒したのにちゃんと元に戻って行くのが聴いていて面白い。


ロックモードは終わり、ツアーの告知。最終日は渋谷AXだという話に、「ハマケン、また飛びたい?」と伊藤名人。渋谷AXで飛んでいるハマケンの姿はDVD(ぐうぜんのきろく3)で目撃できます。マイケルみたいにジェットを背負って飛ぶ?ハマケンをペットボトルロケットで飛ぶか実験?などの意見が出つつ、「今度は大地くんを飛ばそうかって話もあるんだよね、LUNA SEAみたいに。」とリーダー。真矢のごとく空中で360度回転しながらドラムを叩き続ける伊藤名人…。「そんな姿を想像しながら聴いてください」と始まったのは『今の私』。スローテンポでとてもしんみりする曲なのに、さっきの言葉を思い出して「この曲で空中に浮いている伊藤名人…」と想像してしまいちょっと笑いそうになった。続くは、始めの一音で神聖な気持ちになる『インストバンド』。ライブ始まりで歌った曲が、ここで集結をした。


いよいよライブも終盤。しかしまた無駄話は長く。「「MUDA」を買ってくれた人?」という観客への質問に対して実は買っていないよという人が前列あたりにいて「買え!この野郎!」と威嚇しつつ、話は発展。「ライブ派だって人なんじゃないの?」とハマケンがつぶやくと「あー!いる!そういう人!音楽は本当はライブだって人!」と反応するリーダー。しかしハマケンも実はライブ派でCDはほとんど買わない。対してリーダーは「モノ」が好きでCDはもちろん、アナログも買うしiTunesでデータも買う。そして自らを「DVDバカ買い夫」と名付けるほどDVDも購入しているそう。最近買ったのは「トロン」(「トロン:レガシー」の元ネタ)…という話をしてここで気がつく。「つまんない?」。伊藤名人が全然反応していなかったのだ。ここで「トロン」の説明をしだす中、「トロンに出てきそう〜」と田中名人をdis(「それって結構褒めてるよ?」とはリーダー談)。「ハマケンがCD買わないの?」という伊藤名人の質問に「大地君に怒られるから最近は買ってる!」との反応。伊藤名人曰く「ハマケン、音楽に興味なさそうなんだもん」。ちなみにハマケンが最近買ったのはジョンスペ(今更?)。「知らないでしょ?ミュージシャンズオブミュージソン…」と客席をdisろうとして噛んでしまう浜野さん。
伊藤名人は今年年間130本ライブをこなしたそう。対してハマケンはリーダーバンドを二つ始動。更に「役者と音楽、どっちに進むの?」と伊藤名人。「エゴラッピンのホーンをやっている武嶋さんから聞いたけど、エゴのライブに誘おうとしたら『今、役者で忙しくて…』と断られたって聞いたよ!」と暴露するリーダー。「でも、モテキナイトでエレキコミックのやついさんに『ハマケンと違ってオレ、頑張ってるから。ハマケン、なんか最近役者やってるらしいけど、言っとくけどお前ブサイクだからな!』って言われた…ブサイクってやついいちろうに言われたよ!」と、まさかのやっつん話登場。「それ面白い!その面白さを…キングオブコントで見たかったね」とブッチギリの8位を持ち出すリーダー。「でもあれ、痛快だったよね!あれでもっと好きになったもん!」「ウケなかったのをみんなでネタにしだしたとき、フォローし合ってるっていう光景が『生放送』って感じですごくよかった!」と大絶賛。


SAKEROCKは今、ゆっくりと人気が出てきているので、このままゆっくり人気になって、80歳くらいで武道館でライブをするのが夢!」「その頃にはもう死んでるメンバーもいそうだから、SAKEROCK世襲制にしようって言ってます。ハマケンの子どもが継いでメンバーになったり。」「そして子どもが『自分は人間国宝だ!』って言っちゃうんでしょ?」「ブラック〜!」「そんで、子供が『バンドなんかやりたくない!』とか言ったら、モンゴルあたりから助っ人を呼んできたりね」などと、ふざけながらも将来の展望を語るSAKEROCK。そしていよいよ最後に『生活』。対決は、まぁ、いつもどおり不調な浜野さん。「吉高由里子!」「わ・き・が〜」「神聖かまってちゃ〜ん」とか言ってたかな?さすがにここはあんまり覚えてないです。こんなムダなやりとりを踏まえつつ、それでもこの曲は大団円という感じで、幸福感に満ち溢れていく。特に転調後のキラキラ感は素晴らしい。


2時間弱の本編はここで終了。そしてアンコールは新アルバムから『KAGAYAKI』。そして予告通り『MUDA』をもう一度。今回はちゃんと田中名人は間違えませんでした…が、今度はなんと伊藤名人が最後でミスることに。なんだかドタバタで公演は終了しました。でも、『MUDA』をラストにやるのって、これはこれで終わりっぽくもあっていいセットリストだと思いました。


「MUDA」発売後のライブは、また新たな引き出しを開けた感じのライブでした。ギャンギャンに鳴るギターサウンドは荒削りっぽくて元々の自分の趣味にピッタリだし、最近はあまりやっていなかった浜野スキャットも新たな曲で見ることが出来たし。そういえば改めて振り返ると「MUDA」からのは7曲演奏されましたが、まだ半分くらい残っている。ライブで『Hello Põ』聴きたいけどマリンバがいるからやってくれないのかなー。あ、でも『HIROSHIMA NO YANKEE』も『GUNPEI』も聴いてないぞ!これは次の赤坂ブリッツで聴けるのか、それともツアーで聴けるのか。あー、次のライブが楽しみ!今回の年末の偶然も楽しかった!

01.インストバンドの唄
02.慰安旅行
03.菌
04.モー
05.穴を掘る
06.老夫婦
07.ちかく
08.モズレア
09.エイト・メロディーズ
10.Green Land
11.MUDA
12.Green Mockus
13.Goodbye My Son
※Bombtrack (Rage Against The Machine
※信長
14.WONDER MOON
15.FUNK
16.URAWA-City
17.今の私
18.インストバンド
19.生活
en1.KAGAYAKI
en2.MUDA