「Loser's Parade」

for さえない日々

大団円だったM-1グランプリ2010

今年で10年間の歴史に幕を閉じるM-1グランプリ。ラストにふさわしく、すごく緊張感があって面白かった!この思いをだれかと共有したい!(リアルタイムでは見れなかったのでみんなとちょっとタイムラグがある)
なので一方的な独り言を延々連ねます。

カナリア

最初のほうにやたらと「ボン溝黒くん!」とフルネームで呼んでいたのはボケだったのだろうか、それとも名前を植えつけさせるためだったのか、元々こういう呼び方をしているのか。ネタのエンジンが掛かるのが遅いなーって感じで、M-1自体もなんとなくゆっくりスタートしたって感じでした。

ジャルジャル

ジャルジャルってやっぱ凄いな!って単純に思いました。最初に「おいおい、なんか大丈夫か?」って思ったらそれがフリになっていて、「だってお前のボケ知ってるし…」と漫才の枠組みを壊し始めて最終的には何やってんだかわかんない状況に。「漫才じゃなくてコントだ!」と言われるかもしれませんが、そうなったらサンドウィッチマンが代表的な「漫才コント」ってジャンルはどうなるんだ、と思う。「これを漫才と言っていいのか?」と言うならば、よっぽどスリムクラブのほうが「これを漫才というべきか?」状態だったと思ってます。何でも器用にこなしてしまうのが嫌われている要因なんでしょうかね。

スリムクラブ

不思議なんです。だって、ネタの内容はコントとまったく同じなんです。でも、なぜかこっちの方が余計に笑ってしまったのです。見たことあるネタなのに、なぜなんでしょうか。あのたっぷり取った「間」のせいなのか、M-1という緊張感がある中で見たからなのか。とにかく、ネタを知っていたにも関わらず問答無用で笑った。ドラクエでいう、ボストロールの痛恨の一撃みたいだった。一撃が重い。スリムクラブのネタだけは終わってからもう1回見ちゃいました。ネタ終わりの得点発表後、すでに真栄田が涙ぐんでいるのがグッときました。

銀シャリ

前評判が非常に高かった銀シャリですが、スリムクラブの余波を完全に食らってしまったのではないでしょうか。名前は知ってたけど見るのは初めてだったので期待していたのですが、余波のせいか自分の期待値を超えなかった。でも、あのツッコミの人はオーソドックスに見えて実はひっかかるワードでツッコんでますね。あとボケの鰻(うなぎ)は、ちまたで星野源に似ていると評判だそうです(リーダー本人も認めている)。

ナイツ

言い間違いは思い違いに発展し、後半からは前半をフリにしてもう1回!もう、名人芸ですよ、ここまで行ったら。あとM-1の舞台で時事漫才ってのが職人のこだわりっぽかった。

笑い飯

凄いですよね、もう堂々たるものですよね。9年かけて見つけた完成形で勝負したって感じでしたよね。でも見た時点ではスリムクラブにまだ心が持って行かれていたのも事実です。

ピース

ここもコントの印象が強かったのですが、実にオーソドックスな漫才でしたね。又吉が以前のコンビ(線香花火)で漫才をしていたからなのでしょうか。「お〜」と思うと同時に湧き上がる「もうちょっと展開ないかな?」という感情。キングオブコントのときは2本とも後半に綾部が中心となっていく展開があったけど、今回の漫才ではそういうのがなかったのが、期待を超えなかったような。

ハライチ

「毒グモのポーズ」 \シャッ/、「鉄鍋でバーン」「鍋蓋でペーん」が最高でした。でも点数低いんだなー。去年もハライチで爆笑したオレは今年も爆笑。単にハライチ澤部がツボなんですかね、オレ。

パンクブーブー(敗者復活)

このネタが去年出てたら、優勝に何のわだかまりもなかったです。と、いうくらいに緻密で面白かった。ただ思うのは、なぜ決勝ラウンドに進出できる面白いコンビを準決勝で落としたんだろう。

決勝ステージ

スリムクラブが変わらず痛恨の一撃(「街で、一回、見ました」、ブルーハーツ『青空』、「民主党ですか?」)、笑い飯の空想上の生き物シリーズは完成形を向かえた中、他と同じく初戦と同じフォーマットで勝負したのにどうしても「さっきと一緒だ…」という印象が強かったパンクブーブー。フォーマットを知った上での裏切りが弱かったということなんでしょうか。そして笑い飯の優勝、西田の今にも泣きそうな顔になんとも清々しい気持ちになりました。これでよかったんです、やっぱり人は大団円、ハッピーエンドが見たいじゃないですか。「おめでとう!」(TV版エヴァンゲリオンの最終回風)


M-1ってやっぱり面白かったし、こうして誰かに話したくなる、また時には熱く語り合いたくなるようなイベントでした。自分がブログにお笑いのことを書こうと思ったのもM-1を見ていたらなんだかうずうずしてしまったのが理由でしたし。単なるお笑い番組じゃなくて、なんだかその芸人のストーリーや、試合だからこそ各人の戦法、またとんでもない芸人との出会いについてを語りたくなってしまうような、不思議な番組でした。ブログの流行によって国民総批評家になったのもこの番組の存在が大きいと思います。
ちなみに評論ということでは、オフィス北野所属の芸人、サンキュータツオ氏のものが研究者としての視点から語られていて面白いです。
私が観たM-1グランプリ2010(1) 前置き | サンキュータツオ教授の優雅な生活
私が観たM-1グランプリ2010(2) 各組所感 前編 | サンキュータツオ教授の優雅な生活
私が観たM-1グランプリ2010(3) 各組所感 中編 | サンキュータツオ教授の優雅な生活
私が観たM-1グランプリ2010(4) 各組所感 後編 | サンキュータツオ教授の優雅な生活


さて、今回の大会で笑い飯が優勝したハッピーエンドもよかったのですが、自分はスリムクラブの「M-1ドリーム」が楽しみで仕方ありません。まずはやはりダイナマイト関西でライバル関係にあるオードリー若林とのテレビでの共演が早く見たいし、早くラジオのゲストで出演して欲しいです。そういや途中で真栄田が「今年のM-1はセキュリティが甘いです」という発言は、春日が放った「自信?なきゃここに立ってませんよ!」に匹敵する名言*1だと思います。

*1:若林はこの発言に対して「ネタ考えてないくせに!」と神格化されていることに苛立っているらしい