「Loser's Parade」

for さえない日々

たまの映画

伝説のバンド「たま」の映画を見ました。過去の栄光を振り返るのではなく、現在のメンバーの姿を追いかけるドキュメンタリーでした。
http://www.tamanoeiga.com/
『たまの映画』新着情報

「たま」と言えば「さよなら人類」という曲が有名で、更にはその風貌も独特であるため、コミックバンド的な印象を持っている人も多いと思う。自分も「さよなら人類」が大ヒットした1990年、小学生の当時はたしかそういう印象があった。しかし音楽に執着するようになった10代後半に「さんだる」をブックオフで購入し改めて聴いてみると、その世界観に圧倒、魅了されてしまい今でも聴き返している。全然きわものじゃなかった。ものすごいセンスの塊だった。しかも、4人とも。


たま解散後も、それぞれが音楽で生計を立てている。月1のペースで下北沢の小さなお店でライブを続けつつヨーロッパ企画の劇中音楽を担当したりするGさんこと滝本さん。昆虫採集をライフワークとしつつ「酒を飲みながらしかライブはやらない」知久さん。計算とサービス精神過剰な性格によるアヴァンギャルドな表現を続ける石川さん。3人の淡々とした生活、ライブ風景、インタビューで映画は進んでいくのだけど、どうしても淡々とはしていない印象。特に、知久さんと石川さんが相変わらずの浮世離れっぷり。だけど、果たしてこれは本当に“浮世”離れなのだろうか?彼らにとってはそれが“日常”。日常から見る非日常、非日常の中の日常なのか。なんだか「表現とは?」「生活とは?」「日常とは?」ということが頭の中をぐるぐる駆け巡った。
あと、彼らの「今」の音楽、知久さんの独特な弾き語りも、石川さんのおかしなユニット*1も、Gさんの渋い弾き語りが相変わらずかっこいい。中でも個人的には知久さんと石川さんが所属している大所帯ユニット「パスカルズ」のライブに行ってみたくなった。

柳原陽一郎氏がこの映画に出演していないことが途中までずっと引っかかっていたのだけど、彼はたまを途中で脱退した男。「脱退後のことはわからない」という理由で出演を断ったらしい。そんな彼も、音楽を続けている。

*1:俺、生で初めて見た石川さんが「ホルモン鉄道」だった。狂ってました。