「Loser's Parade」

for さえない日々

劇場版神聖かまってちゃん「ロックンロールは鳴り止まないっ」


KAMATTECHAN
かまってちゃんが映画になるってのはいったいどういうことなんだろう。群像劇で、しかもマネージャーの劔さんにもスポットを当てるという。これは気になるなー、と思って行った日は、上映後に宇多丸さんと森下くるみ嬢、入江監督によるトークショーもあって大変お得でした。
内容は、神聖かまってちゃんの物語ではなく、そのリスナー、及び周りの人生について描かれている。1人目は「プロ棋士の夢を持つ女子高生」の二階堂ふみはドラマ「熱海の捜査官」で市長の娘を演じていた人。今回の役では、プロ棋士を目指しているのに思春期にしかモテない男(by宇多丸)との恋愛を優先させてしまいそうになったり、進学を希望する両親の反対にあったりの中で神聖かまってちゃんを知る。2人目は「シングルマザーのショーパブダンサー」森下くるみ。我々世代の男子にとっては超有名人だし、最近は文化系活動も活発ですね。PCに異常に強くて保育園で『芋虫さん』(♪死にたいなー生きたいなー)を流行らして問題児扱いされてしまうほどのかまってちゃんファンの5歳の息子の影響で神聖かまってちゃんを知る。そして最後に「神聖かまってちゃんのマネージャー」である劔さんが本人役で出演。かまってちゃんがどんどんメジャー化していく中で様々な板挟みにあう。これら3本の生活を軸に、様々な人達が登場する。
「SRサイタマノラッパー」を見ていない自分はこれが初入江監督作品体験。もし入江体験を経験していたのならば、宇多さんが言っていたような「サイタマノラッパーよりもポップ」という意味がよくよく理解できたでしょう。また、神聖かまってちゃんのことを知らない人ならばこの映画が「それでも純粋に楽しめる」ということを実感できたのかもしれません。入江作品未経験者でかまってちゃんを知る自分にとってどう見えたか。はい、大いに楽しめました。ツルギさんが杉作J太郎Tシャツ着用で登場したシーンで笑い、monoが発するセリフで失笑し、あの事務所の先輩カッコえーなーって思ってたらそれが中尾憲太郎でビックリし、「あんな子供いやだな…」とPCを巧みに操る息子を眺め、ピリピリした表情の森下さんにドキドキし、ポールダンスシーンがかっこよくて興奮し、バカ彼氏にむかつき、自転車疾走シーンで燃え、「中を開けたら将棋のソフト」のシーンで笑う。
かまってちゃんのことについて語られている映画ではないので、それを期待するとガッカリするのかもしれませんが、単純に音楽映画として面白かったです。「かまってちゃんの音楽で救われる!」とかそんな安易な展開にならず、それでも必死で生きていくって展開になったのもよかった。
あのシーンがよかった、このシーンが気になる、とか言いたいことはいろいろありますが、劔さんが堀部圭亮野間口徹に挟まれている姿はなんだかとっても面白かった、というのは特に言っておきたいです。大阪市立大→ミドリ→かまってちゃんマネージャー兼あら恋ベーシスト→映画出演って、劔さん、本当に面白いことになってますね。


タマフルでの宇多丸さんの映画評はこちらで聞けます。トークショーでもだいたいこのようなことをおっしゃっていました。
TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル