星野源の別エピソード「部屋(友達編)」@恵比寿リキッドルーム
お先に紅白歌合戦を見てきました。
「部屋」シリーズは、4月の渋谷PARCO劇場で開催された以来。それが今回は清水ミチコと対バン「友達編」、京都の磔磔開催「京都編」として開催。星野源と清水ミチコの対バンだなんて、絶対面白いことになるに決まっている!とわくわくしながらこの日を待っていました。
普段のアコギではなく、この日はセミアコを持って最初に星野源登場。特に挨拶などもなく、いきなり歌に入る。最初の曲は、もちろん『歌を歌うときは』。遠くからだったから見えなかったけど、あのセミアコってSAKEROCKのときに使用しているいつものGIBSONのES-125だったと思うのだけどどうだろう。いつも弾き語りといえばアコギで静かに歌うイメージだったのだけど、今回はアンプで少し歪ませていたのがとても印象的だった。もうすっかり歌い手としての高い意識を持ったのか、力強かった。無駄な喋りも抑えようとしていたのはそのせいだったのだろうか。
とは言ったものの、『エピソード』演奏中に喉に何か引っかかったらしくサザエさん風に「んがぐぐ…」してしまい、「さっきケーキを食ったから…」と笑いを招いてしまう場面が。結局ストイックな幕開けだったのに台なしだったのが、らしい。「今日は『部屋』ってライブだから、こんな感じでダラダラいきます」。MCでは当然「11人もいる!」の話も。「ヒロユキおじさんだよっ!」「今日は行けなくてごめんなさい!って絵文字付きでメールをもらいました。湘南乃風のRED RICEさんからです」「ロケ中、神木くんはキャーキャー言われてるのにオレは『普通ー』って言われる!あれ止めて!家に帰ってシャワー浴びてるときに思い出してヘコむから!」などなど、サービス精神旺盛。
前作「ばらばら」からも、新作「エピソード」からも、そしてドラマ挿入歌「家族なんです」も歌ってくれた。「部屋」のようにリラックスして演奏したいと言っていた為か『くせのうた』の出だしで「君の癖を知りたいが〜笑って聞いて…」と1番と2番がごっちゃになって間違っちゃって演奏し直したりもありましたが、昨年の渋谷ワンマンを境に、確実に自信を持って力強く歌い上げていたのが印象的でした。
続いてステージ上で文字通りバトンタッチしたのが清水ミチコ。選手交代中のリーダーとのMCでもすでに平野レミを登場させたり、観客からリクエストを募ってモノマネをしたり(楽しんご、瀬戸内寂聴などなど)と準備万端。まずはおなじみ、『サッちゃん』を自己紹介代わりに披露すると大盛り上がり。そして、美輪明宏『愛の讃歌』。更にはモノマネ以外にも音楽ネタとして「『渡る世間は鬼ばかり』のテーマを弾きながら天空の城ラピュタ『君をのせて』を歌う」という、「気持ち悪い音楽」を披露。これには笑いにプラスされて驚きの声も上がりました。大盛り上がりの観客に「気持ちいい!源ちゃん誘ってくれてありがとう!!」と喜びの声が。
更にモノマネメドレーが披露され、ド頭から伝家の宝刀、矢野顕子『ひとつだけ』。そして清志郎で『トランジスタ・ラジオ』。ただただ低音で唸っているようにしか聞こえない研ナオコ、特徴を捉えた吉田美和にアンジェラ・アキ。もうひとつの宝刀ユーミソ。「ずわわ」な森山良子に似てるからこそ面白い『千の風になって』と名人芸を堪能しました。
あれ?もう2組のライブが終わっちゃった。案外早いなー。それじゃこのあと2人で演奏して終了かな、と思ったのだけど、実際はここからが本番であったと言っても過言ではないくらいの展開が待っていた。清水ミチコが再びリーダーを呼び戻す。先ほどのセミアコではなく、アコギを持って着席するリーダー。更にスペシャルゲストとして呼び込まれたのが…放送作家、寺坂直毅。両者ともと知り合いの寺坂さん、紅白マニアであり、デパートマニアであり、エレベーターマニアであり、黒柳徹子マニアである寺坂さんが登場して開催されたのは、名付けて「二人紅白歌合戦」。各回の紅白の曲前口上も頭に入っている寺坂さんが司会となり、二人でカバーを行う企画だという。というわけで、寺坂さんの口上を交えて、二人が交互に歌い始めました。
白組、星野披露曲は、1曲目に森進一の『襟裳岬』。これがまた、ピッタリ。この曲、吉田拓郎作曲だったんですね。そして2曲目は小坂忠の『機関車』。小坂忠の曲をカバーするのは昔から行なっていたために、すでに持ち歌のような安定感。そして3曲目は、来ましたユニコーン!『雪が降る町』!いい選曲するなぁ!余談ですが、後日配信されたUST番組「サケノサカナ」では「実はサカナクションの『エンドレス』をカバーしようとしていたけど耳コピできなくて『雪が降る町』になった」と言ってました。そしてお馴染み『スーダラ節』がトリ。
紅組、清水披露曲は、まず百恵ちゃんの『いい日旅立ち』でスタート。そして驚いたのが次の曲、椎名林檎『カーネーション』。現在放送中のNHK朝ドラ「カーネーション」のテーマソングで、ネタにするの早い!って驚いた。新ネタっぽく、多少のミスタッチもあるけれど破壊力は抜群。続いて定番、綾戸智絵の『テネシー・ワルツ』。「ここで溜めまんねん」「ドラえも〜ん!」などなど、待ってました!って感じ。最後にはユーミソさんが降臨されて『春よ、来い』を歌われて終了。この曲は本当に今回の紅白でキーとなる曲なので、寺坂さんの口上も気合が入っていました。
どれも素晴らしい熱演、最高だった。また寺坂さんの口上が気分をかなり高揚させてくれました。この寺坂さん、3人の会話の中で名言だったのが、「童貞で30歳を超えると魔法使いになるって言われてますけど、あれ本当なんですよ!僕は夢の中で抱きたいと思う人を自由自在に呼び出すことができるんです!」。今回、一番の爆笑を巻き起こしました。そっか…本当に魔法使いになれるんだ…。
そして最後は二人で共演、ということで始まったのは、井上陽水の『帰れない二人』。星野リーダーは普通に、清水ミチコは陽水モノマネで披露していたので多少の笑いもあったのだけど、これが本当に名曲。忌野清志郎との共作で、録音には細野晴臣も参加していたということも初めて知りました。そして最後に矢野顕子が降臨し、THE BOOMの『中央線』。ラジオ「RADIPEDIA」にゲストで清水ミチコが来た時にも共演が放送されましたが、素晴らしいの一言に尽きる。清水ミチコがイタコとなり矢野顕子を憑依させていました。
アンコールには星野リーダーがひとりで出てきて『くだらないの中に』を演奏して終了。「笑いながら歌うっていいね!」「来年もやりたい!」「いつかテレビでもやりたい!(見に来ていたらしいテレ東プロデューサー五箇さんに向けて)五箇さん!お願いします!そのときまでに頑張って売れます!」など、自身もいたく感動していたようでした。
今回のリキッドルーム、いつもはチケット完売ライブの場合ぎゅうぎゅう詰めでステージが全然見えないっていう印象だったんだけど、「部屋」ということもあり多少調整したのか、比較的ゆったり見れた。そのお陰で純粋にステージに集中して楽しみことができた。それにしてもこのライブ、あそこにいた800人くらいだけで独り占めするのは非常にもったいない感じもしました。ホント、定期的に興行として全国ツアーでもやったらいいと思いました。
それにしてもいい曲だなー。
星野源
01. 歌を歌うときは
02. エピソード
03. 変わらないまま
04. 布団
05. ばらばら
06. 家族なんです
07. バイト
08. 老夫婦
09. グー
10. 予想
11. くせのうた清水ミチコ
01. サッちゃん替え歌
02. 愛の讃歌
03. 渡る世間は鬼ばかり+天空の城ラピュタ
04. メドレー
・ひとつだけ(矢野顕子)
・トランジスタ・ラジオ(RCサクセション)
・かもめはかもめ(研ナオコ)
・サンキュ.(DREAMS COME TRUE)
・手紙 〜拝啓 十五の君へ〜(アンジェラ・アキ)
・ノーサイド(松任谷由実)
・さとうきび畑(森山良子)
・千の風になって(秋川雅史)ふたり紅白歌合戦
白01. 襟裳岬(森進一) / 星野
紅01. いい日旅立ち(山口百恵) / 清水
白02. 機関車(小坂忠) / 星野
紅02. カーネーション(椎名林檎) / 清水
白03. 雪が降る町(ユニコーン) / 星野
紅03. Tennessee Waltz(綾戸智恵) / 清水
白04. スーダラ節(ハナ肇とクレイジーキャッツ) / 星野
紅04. 春よ、来い(松任谷由実) / 清水
05. 帰れない二人(井上陽水) / 星野&清水
06. 中央線(THE BOOM) / 星野&清水アンコール
01. くだらないの中に / 星野
⇒星野源、清水ミチコと「ふたり紅白」で爆笑カバー乱れ打ち - 音楽ナタリー