「Loser's Parade」

for さえない日々

ヨーロッパ企画presents第5回ショートショートムービーフェスティバル・東京本選@新橋ヤクルトホール

こんなに自分の好きな人たち、そして割と身近な人たちが入り乱れた集まりは、ヨーロッパ企画でしかありえなかったのかもしれない。
SSMF本選CM
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ヨーロッパ企画が主催している5分以内の映像作品を持ち寄った映画祭、「ショートショートムービーフェスティバル(SSMF)」。今回はタイトルが「ゴ」であることに絞られたルール。そしてこの本選では昨夏と今冬の予選を勝ち抜いた12作品と、ゲスト監督の6作品、合わせて18点を上映。ちなみに来週に行われる大阪本選でもまんまおんなじことをやるみたいです。それにしてもヨーロッパ企画というのは大人計画とはまた違っていろんなものに手を広げる劇団だなぁ、と今更ながらに思った。今回の映像作品を筆頭に雑誌やラジオやテレビ(なんと東京MXで冠番組がスタートするそうな。京都の劇団なのに!)、役者兼大道具やデザイナーがいるなど、まさに家内制手工業。事務所も本当に工場だし。
さて、この映画祭は、観客が一審査員として一票を投じる権利を有している。昨今の「M-1」やら「R-1」やらの審査に多少の不満を持っていた自分にとっては、「さぁ、お前ならどう審査する!?」と問われているようでなんだか緊張してしまった。そして審査を終えて一言。オレ、審査とか無理だー。難しいですね、審査員って。易々と文句を言うのを控えるようにします。たった5分の映像作品。でも、ジャンルが正統派から変化球、ロボットものにアニメに時代劇に体験型ムービーと本当に多種多様。どういった基準で審査したらいいのかさっぱりわからなくなってしまい、単純に一番笑えた(自分の好みを踏襲する、というエコヒイキ型観点)ものに審査したわけです。先にも書いたとおり、3/7には大阪本選があり、(恐らく)まったく同じ作品でもって審査が行われるため、そちらに参加される方はここから先は読まないように。ネタバレになりますので。

5畳になりたかった4.5畳の部屋との愛の話。うん、文章じゃさっぱり意味が分からない。最初はホラーかと思えば、若干シュールな笑い。言葉や小道具のチョイスが好きでした。「コンクリートつめたーい」とか、ザバスとか。

  • 2.イクイプメン(お笑いユニット)⇒

シュールな登場人物が「ゴ」にちなんだことを行動するアニメ。このキャラクター、商品化できそう。

ドラえもんを手に入れるにはノビ太よりダメ人間になればいい」という発想のもと、ダメ人間への道をいろいろ思案していく内容。審査委員長の本広克行監督が思いっきり蔑んでいたけど、ちょっと好きだった。

  • 4.POPPLE PEAPE PRODUCTIONS(映像クリエイター集団 from 札幌+仙台)⇒

これは単純に面白かった。小学生らしき男子2人が延々と残り少ないおこずかいをどうしようか話し合うアニメ。アニメと言ってもほとんど動かず、セリフと字幕で勝負。このセンスが素晴らしかった。審査委員長も絶賛。また、この監督のキャラ(非常におどおどし、ぼそぼそしゃべる)も最高だった。

「5」にまつわる5本のネタを5分きっかりで。いかにも単独イベントの合間に流れてそうな映像ネタでした。「ノリを間違えました!」と必死に言い訳をしているのが面白かった。そしてしゃべるしゃべる。役者などが多い中で一番芸人っぽかった。あたりまえだけど。

栃木の高校が舞台で白血病の高校生をめぐる物語。一番ショートストーリっぽく、繊細な作り。唯一の女性参加者だったからか。きれいにまとまっていて、ある意味正統派であったのに異色なイメージだった。

ものすごいチープな戦隊もの。京都タワー京都市バス烏丸通やBiVi二条などなど、京都に住んでいる人にはたまらない映像。京都在住者にすり寄ったとも言える。

大学生兄弟の物語。京都の大学生の話って、無条件に好きなんですよね。「きょうのできごと」も好きだったし。まぁ、全然毛色は違いますが。

期待していたモンエン西森。「これのどこが『ゴ』?」という疑問は、審査委員長の指摘が的確でした。それにしても「ニート」というナレーションが耳から離れません。現在、我が家での流行語になっています。ちなみに出演者は元ベリー・ベリーの上田ベリー・ベリーって、名前は微かに聞いたことがあったくらいだったんですけど、解散してたんですね。現在はピン芸人だそうです。

あー、この辻さんて知ってるわ。ハイレグタワーの人かー。上映後のコメントで「靖国神社に…」とかいろいろぶっ飛んだ発言をしててびびった。こういう人なんですね…。水野美紀が出演しててびっくりした。だから水野美紀が観客の中にいたのか…。

碁石を置く」だけの映像にテロップを55パターン乗せる、というせきしろワールド全開作品。完全に映像作品というか大喜利でした。実は全作品の中で3番目に好きだったけど、受けはあんまり良くなかったみたい。こういうのって、見る側の知識の量によるところもあるからなー。

体感型ムービーという名のおふざけ。素直に目をつぶった人は手を上げなさい。…はい。いや、途中で異変に気がついて目を開けましたよ。この衝撃的な映像は、今でも目に焼き付いてます。

  • 13.真壁幸紀(ENBUゼミ出身)⇒

ボクシングの試合前会見でしりとりを始めてしまう、という内容。数秒のカットのために坊主にさせられてたり、役者が大変そうだった。

やくざの闘争。内容に関しては特に印象には残らなかったが、最後のテロップのスペシャルサンクスで学生時代の後輩のバンドが載っていたのにビックリ。え、なんで!?もしかしてボロフェスタつながり?まさかこんなところで後輩の名前を見ることになるとは…と、そっちに気を取られてしまった。

時代劇もの?うーん、これで笑っている人たちは身内ノリが理解できる人たちなんだろうなー。ちょっとよくわからなかった。

えー…卑怯だわ。テレビ業界に生きる人間として、使えるものをすべて使った感じ。でも、やっぱ一番笑ったんですよねー。悔しいけど、やっぱオレはこの人の作る作品がツボだ。そしてこんなくだらない映像作品に協力するのは、谷口直樹アナをはじめとする「日本一バカな社員がいるテレビ局」の面々。これに投票するのはちょっとなぁ、と思いつつ、結局藤やんに入れてしまった。本当はPPPに入れたかったけど…。

こちらも映像の質から違いを見せつけてくる。また、「パンク侍」の稽古中だったためか、キャストも無駄に豪華。ゴディバゴディバ…は面白かった。

指を人に見立てて男女を描いていく作品。とにかく映像がきれいすぎる。もう、最後の3組は、映像の質が他のものと段違いだった。なんか、これはちょっと審査しづらいなー、とか思ってみた。藤やんに入れたんだけど。


結果としては1位はPPP。あー、意外に好きな人がこんなにいたんだー、って印象。2位は藤やん(組織票なのかなぁ?)で、3位はヨーロッパから永野氏、という感じでした。ひさびさにこんなにゆるゆるイベントを見て楽しかった。映像作品を見るのが苦手な自分でもすんなりと見ることができました。それにしても、今回は自分の好きなものが並びすぎていた。小演劇に吉本に人力舎せきしろ水曜どうでしょう。そして後輩が協力していた作品はあるわ、もっと言うと、予選では実際に後輩がエントリーしていた。なんなんだ、この自分にとってカオスな現場は。これも、ヨーロッパ企画の引力の仕業なのでしょうか。あ、でも、正直本広監督の身内ノリ(ムロツヨシいじめなど)はあんまり好きではなかった。いとうせいこうが審査委員長の大阪のほうがよかったなー。なんか、大阪は結果が違いそうな気がする(藤やん以外)。