「Loser's Parade」

for さえない日々

ワルシャワの鼻@世田谷パブリックシアター

GEORGIA presents「ワルシャワの鼻」
「やっぱり一生に一度は明石家さんまを生で見とかないといかんだろ」、と常々思っておりました。ビートルズを見れない我々は、後悔しない様に明石家さんまをライブで見ておかないと、という感覚です。日本のお笑い界BIG3の中の1人が定期的に舞台を行っているのだから、それはやっぱり体感をしないと、などと、なんだか変な脅迫概念があったのです。ちょうど『本人』では自身では珍しい紙媒体でロングインタビューに応じているというタイミング。

「芝居はまったくダメだと思っています」なんて『本人』のインタビューで語っていらっしゃいましたが、いやいや、全然そんなことありません。生で見た明石家さんまはものすごくかっこよく、やっぱり笑わせてくれて、そして泣かせてくれました。あらすじとしては戦後の大阪の話なのですが、随所に「さんま節」を醸し出しながら、それでも演劇として立派に成り立っていました。変な話なんですけど、ちゃんと芝居をやっていることに驚いてしまいました。いや…テレビでの彼は傍若無人に、時に流れを無視して天真爛漫に自分のフィールドに強引に持っていている印象があったのですが、まあ当たり前なんですけど、明転後にちゃんと板付きで登場したり、話を進めていくのがちょっと違和感があったりして。

それでもさんまの真骨頂というべき妄想力が爆発しておりまして、自分の手のひらを蜘蛛に見立て、蜘蛛の男女の営みのやりとりについて延々30分近くアドリブで続けていたのには、もう平伏せざるを得ませんでした。もう、すごすぎる。そして、しつこ過ぎる。そのおかげで3時間公演なのに30分近く押していました。テレビでは編集されている「さんまのはみ出てる部分」を十分堪能させていただきました。

全体的には生瀬勝久羽野晶紀など、ほぼキャスト全員が関西出身のため、関西弁にまったく無理がなかったのがよかった。最後には二転三転するストーリーにどきどきして感情移入してしましました。明石家さんまという人間を生で体感したのはとても貴重な出来事となりました。


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