「Loser's Parade」

for さえない日々

ハイバイ特殊公演「七つのおいのり」@アトリエヘリコプター

ハイバイが面白いって周りからやたら聞くようになった。んで4月にはユースケ・サンタマリア主演の「その族の名は『家族』」を見に行った。ハイバイの役者は出てこないものの、ハイバイ作品の再演で、すごく面白かった。ということで今回はハイバイの役者が出揃う公演へ。しかし、今回は特殊公演と銘打たれた、オムニバス公演、そして団員それぞれが脚本・演出を手がけていました。
岩井さんによる前説が始まり、そのままぬるっと芝居が始まる。こうした「客席に問いかける」「芝居に入る」を自由に行き来する場面はその後何度も出てきましたが、冷静なツッコミや解説がより笑いを増幅させる機能を担っていました。今回のオムニバスは、デパ地下店員が客に「おばちゃん」と言われてショックを受けて…な話(『あなたのために』)、楽屋に来た人が誰かわからず適当にごまかそうとして危ういことになっていく役者の話(『あ、どうも』)、暇つぶしのために「エア銀行強盗」を企てる話(『ヒマをつぶす』)、姉の結婚相手と話していたときおきたある実話の事件(『姉の結婚』)、同棲するために不動産屋に来たものの年収や職業で難色を示される舞台役者の話(『たのしい新生活』)、AV女優の父親向けグループカウンセリングの話(『父の怒り、火の如く』)、そしてあまりにできの悪いサプライズ演出をされた実話(『金子の誕生日』)の計7つ。
全体的に人間の嫌な部分、いたたまれない場面を軸とした笑いだったのは、この劇団のカラーという理解でよかったのでしょうか。なんだか「こういうことあるある!」な感情もあって大いに笑いました。あと『姉の結婚』は途中まで姉の彼氏にイライラしてしょうがなかった。『たのしい新生活』は自分が妻と結婚前に同棲する際の出来事を思い出した。「婚約者」って書類に書いて急に結婚をやたら意識し始めたり、そのとき無職だったからちょっと契約に大変だったとか。あと何より、最後の『金子の誕生日』については「金子がんばれ!」としかいいようがありませんでした。面白かったなー。


そういえば、冒頭に主催の岩井さんが「この公演はコントと銘打ってしまいましたが、コントではなくなりました」と言っていたのが気になる。だって、これ、コントでいいじゃない。なぜあえてコントと呼ばないようにしたのだろう。コントと芝居の違いってなんだろう。もしかしてそういうことを訴えたかったのだろうか、なんて考えてましたが、後から調べると「コントというとハードルが上がっちゃうから」という理由だったらしい。考えすぎた!あと今回の劇場がアトリエヘリコプターってとこだったんですけど、ここって「五反田団」の前田司郎さんのご実家兼アトリエなんですってね。凄いところに住んでるなぁ…。