鎌塚氏、すくい上げる＠下北沢・本多劇場

倉持裕さん作演出のコメディ「鎌塚氏」の第2弾。今回は満島ひかりを生で見てみたいというのと、キンコメの今野が出演しているから、という理由で行ってみた。
⇒M&O Plays produce：鎌 塚 氏 、 す く い 上 げ る
この作品は先述のように「鎌塚氏、放り投げる」に続く「鎌塚氏」シリーズの第2弾で、前回はともさかえり、片桐仁などが出演。今回は主演である三宅弘城を筆頭に、満島ひかり、市川実和子、田中圭、六角精児にキンコメ今野。そして前作に続いて広岡由里子と玉置孝匡が出演。

ものすごくまっとうなドタバタコメディ劇で、難しいことを考えずに素直に楽しめました。それぞれの個性がはっきりと出ていて、三宅さんは堅物っぽいけどちょっと抜けてる具合が魅力的だし、満島ひかりはイメージ通りのワガママさとワイルドさを遺憾なく発揮。市川実和子の健気さも愛しくて、田中圭はバカ王子キャラを違和感なく演じるコメディセンスにはビックリ。今野は本業のコントでは主に戸惑わせる役が多いのだけど、今回は人望のない船長を情けなく熱演。そして六角さんは終始カッコイイし、広岡さんは飛び道具だし、玉置さんは倉持さん主催のペンギンプルペイルパイルズ劇団員なのでどっしりとしていた。

今回、見てみたいと思わせた満島ひかりですが、あれが地声なのか、それとも連日の舞台の影響なのか、声が掠れていたのが気になった。だけど、今回の見所出会った満島ひかりが中森明菜を熱唱するシーンでは「さすが元Folder5…！」と思わざるをえないパフォーマンス。カッコイイ。
今野はハッキリとわかるようなボケ役ではなく、どちらかというと気弱なツッコミ役というような役割だったので目立つ場面はそこまでないのだけれど、それでも端々に見せる間の取り方であったりニュアンスは芸人代表！という感じ。
話の内容は、豪華客船の中で執り行われるお互い顔も知らない良家のお見合いにて、この政治的なやりとりに不満を持つお嬢様が女中と入れ替わって…という、物語としての土台はよくあるような話。しかし、その中でも複雑に絡む関係がいろいろと現れるのだけど、それは特に気にならない。それくらいにテンポがいい。テンポが良すぎて「なんで最終的に丸く収まったんだっけ？」と感じてしまったのだけど。
それにしても、グループ魂では「石鹸」として筋肉バカ、脳みそが筋肉、基本口が半開きというキャラだった三宅さん。この芝居では業界内トップクラスの完璧な執事役だったのですが、その姿がとても様になっていて、とっても頼れる男に見えました。完璧だけど、人間らしさが思いっきり滲み出るのが三宅さんが演じている意味だったんでしょうね。面白かったです。