シャンブル／ユニコーン
俺たちは俺たちだー！
ここ1週間近く、おかげさまでヘビーローテーションになっています、ユニコーン16年ぶり8枚目のオリジナルアルバム「シャンブル」。2月に入ってからはメディアでは5人お揃いの衣装を身にまとったオッサンがやたらとはしゃいでます。そんなオッサンを見るたびに、「ああ、バンドってやっぱり楽しそうだなぁ」と思ってしまう。思えば自分が初めて買ったバンドスコアはユニコーンだった。この人たちを知ってバンドを組もうと思ったのでした。
ということで、このアルバムについて書こうと思うのですが、なんというか、なかなか言葉で言い表せない。最初に聞いた印象は、実は「なんか地味で落ち着いた感じだなぁ」というものでした。民生曲はなんだかソロ曲と同様に聴こえるし（ソロのアルバム持ってないけど）、阿部曲はゆったりとした感じでやたら壮大だし、EBI曲は相変わらず無国籍だし、テッシー曲はハードロックだし、川西曲はなんだかよくわからない。でも、そういえば、今までユニコーンを遡って聴いてきたとき、最初は必ずそういう印象を受けていたということに気づいたのです。そう、ユニコーンはなんだかよくわからない。そしてそれがユニコーン。昔から知っている人いわく、「なんで今になってこんなに“伝説の！”ってもてはやされているのかがわからない。だって、売れてなかったじゃない。」ということだそうな。そうか、ユニコーンって、目立ってたけど決してヒットメーカーと言われるようなバンドではなかったのか。でも、なんでこんなに心を奪われているのだろう。一発で虜になるようなバンドではない。そう、ユニコーンって、確か何度もかみしめるたびに、知らない間にその蟻地獄にハマってしまうようなバンドだった（自分は後追い世代ですが）。そう、気がついたのです。そもそもオレがハマるきっかけって、「THE VERY BEST OF UNICORN」というベストアルバムで、よくわからない曲群の中でも、ポップなものを集めた作品で好きになったからすんなりと受け入れることができただけであり、オリジナルアルバムを遡って聴くときは必ず「…あれ？」と言う印象が浮かび上がっていたのです。しかし、それでも何か心に引っかかるものがあり、その疑問らしきものを解消されるために聴き続けると、知らぬ間に罠に引っかかるようなバンドなのです。そして、それは16年ぶりのアルバムでも同様の印象を受けたのでした。
アルバムの最初を飾る『ひまわり』は16年の沈黙の幕開けのような印象で、『スカイハイ』はギターリフが気持ちいい。『WAO!』はもうすでに死ぬほど聴いているので置いておき、続く『ボルボレロ』でEBIボーカルが始まると、「ああ、このボーカルが変わっていく感じがユニコーンだなぁ」と実感がわいてくる。『ザギンデビュー』はユニコーンの“いびつさ”を物がたり、『キミトデカケタ』では「Perufumeかよ！」と突っ込みたくなるものの、サビの機械音がやたらと癖になるつくり。そこから繋がる『オッサンマーチ』は「今度はDEEP PURPLEかい！」と突っ込みたくなるオルガンソロながら、こちらもポップなメロ。シングルの特典DVDでデモテープの段階で「暗っ！」と突っ込まれてた『AUTUMN LEAVES』も異質ながらユニコーン。『水の戯れ』もEBIの黒人音楽満載な曲を民生が歌うこの作業分担がユニコーン！個人的に病みつきになった『BLACKTIGER』は川西曲特有のどこにも属さないけどものすごいポップな曲で素敵。またアルバムのブックレットの「ボーカル：海老」っていう細工も手を抜いていない。『最後の日』は北欧感満載で跳ねるリズム。『R&R IS NOT DEAD』はちょっとシリアスながらも高らかに自分たちの音楽を日本音楽界にぶつける宣言。『サラウンド』からはアルバムが終わっていく終末臭がし始めるものの『パープルピープル』でみんなで分担ボーカルで「広島三区に立候補」とか歌って外してみつつ（こんな歌詞が出てくる川西氏の作詞能力もすごいけど）、『HELLO』で「到着5'02"」の壮大なタイムマシーンに乗っかる。うわぁ、なんだ、よくよく聴いたら全然捨て曲がない。そのタイムマシーンが到着した後は、再びリピート機能を介して『ひまわり』に流れ込む。そうだ、これがユニコーンのアルバムだ。くせが強いけどハマったら抜け出せない珍味なのか。
という感じで気持ち悪いくらいに聴きまくってます。ちなみに初回特典のDVDがまた素晴らしい。80分くらいある制作ドキュメントで、見どころは満載。印象的なのはみんなの笑い声。特にEBIの「あはははは！」という若干カマっぽい笑い声。これを見てから改めてアルバムを聴くと、また違って聞こえてくるのがニクい。というか、ズルい。こんなの見せられたら、イヤでも各曲に感情移入してしまう。皆様、買うなら初回特典にしてくださいね！アホみたいに内容充実してますから。なんか、本当はいろいろ書きたい話題はあるものの、すっかりこのアルバムで最近は頭が埋め尽くされてしまってます。
