「Loser's Parade」

for さえない日々

SAKEROCK『会社員と今の私の慰安旅行』@赤坂ブリッツ

赤坂BLITZ。東京都港区赤坂の赤坂サカス内にあるTBSが運営しているライブハウスで、1996年4月オープンしたものの、2003年に再開発のため閉鎖されたが、2008年3月20日に再オープン。集約人数は約1,200人(旧施設は約1,700だった)で、東京都内でも有数の大バコである。もちろん地方出身の自分もその名前は知っていて、SAKEROCKワンマンがそこで行われると聞いたときは「…マジ?」と思ったのでした。だって、前の週には筋肉少女帯、前日はメロン記念日、翌日は伊勢正三がライブをやるようなハコなんですよ。おいおいすげーな、なんて想いを事前に抱きつつ、ライブ当日、普段は行かない赤坂サカスなんていうセレブリティな場所に着くと、順番待ちしているお客さんの多さに改めて圧倒されてしまいました。京都のクラブメトロで見たのがはるか昔のようです。実際には2年半前ですが。あと「RO69」の即日ライブレポにも載っていたのも少々驚き。ロキノン…。
さてはて、今回のシングル&DVD発売記念ツアー「会社員と今の私の慰安旅行」。「なぜDVDもリリースしたのに“ラディカル・ホリデー”という単語が入っていなくて“慰安旅行”なのか?」という疑問を生活純子さん(後述)もおっしゃってましたが、どうも本来はめでたく廃盤になったミニアルバム「慰安旅行」(COMPARE NOTES RECORDSより2004年発売)がカクバリズムから改めてこのタイミングで再発される予定だったのが、結局11月になったので、あんまり意味のないタイトルになってしまったそうな。とまあ、そんないわくつきのツアーですが、今月頭より大阪、名古屋と回ってきて、今回が最終。各所ではオープニングアクトとしてリュクサンブール公園(大阪)、みにまむす。(名古屋)が出演し、この東京ではなんと清水ミチコ。前日まで公表されていなかったのですが、このサプライズには歓喜の声をあげたのでした。「有給取っといてよかったー!」、と。(「地球に産まれてよかったー!」by 織田裕二 or 山本高広のテンションで)
開演前にはステージに降ろされた巨大スクリーン上で「会社員と今の私」のPV、「ラディカル・ホリデー その0」のCMに加え、DVDのアウトテイクであろう“カシュー&ナッツ”の演奏がループで流され続けました。恐らく今回来ていた客はすでに見ているにも関わらず、やっぱり笑いが起きていたPVの浜野登場&交通事故シーン。こんな大勢の人間と一緒に、こんな大スクリーンでこの映像を見ることなんて二度とないのだろうと、ふと思う。そして、開演時間である7時になると、スクリーン上にDVDでの進行役でもあった生活純子氏が登場し、サケのメガネとオチビちゃんを呼び込む。二人が前説を行ったところでライブがスタート。…なんとも凝った演出だなぁ、流れてるの撮り下ろし映像だし。

まさかこんなタイミングで、このような場所でお会いできるとは全く思っていませんでした。“面白い人しか出ていなかった”夢で逢えたらに出演していた、独自のスタンスを貫いているお方ですよ。自分も含め、初めて見る人が多かったのに、すっかり虜にしていきました。
童謡『さっちゃん』に乗せて桃井かおり綾戸智絵杉本彩田中真紀子などを披露したかと思えば、歌に乗せ美輪明宏の自己紹介、動揺した時事ネタを童謡に乗せてお送りするネタ、西岡恭蔵の『プカプカ』を桃井かおり大竹しのぶ吉田日出子になって歌う、好きなフォークシンガーの方々の曲を披露(ユーミン矢野顕子もやった!!!)していくなどなど…。怒涛のモノマネショーを披露し、最後は「自分の持ちネタをあいうえお順で次々と紹介していきます」とキラーチューンが繰り広げられたときには、筆者、感激でした。アグネス・チャン、淡谷のり子井上陽水忌野清志郎楠田枝里子などが矢継ぎ早に現れては消えていったのでした。

  • 幕間(映像ネタ)

映像ネタて、お笑いライブかよ、と自分で書いておきながらツッコんでしまった。再びステージにはスクリーンが下ろされ、今度は“中継”というテロップと共に演奏前のサケロックの楽屋へ潜入レポートを行おうとしている生活純子さんが登場。しかし「ピリピリしてるんです!」とハマケンがドアの向こうで入らせないようにしているのですが、その中からちらちら見える各メンバーは、何かおかしい様子。やけに太ったドラむ担当だったり、やけにモヒカンなギター担当だったり、やけに背の低いべース担当だったり…って、要するにファミ通WaveDVDに出演している方々になってました。そんなネタを挟みつつ、「私の一番大嫌いな曲、『進化』」と言って演奏スタート。ちなみに生活純子さん、本当はSAKEROCK大好きな上、伊藤大地萌えだそうです。いいセンスだ。

『進化』『2,3人』と比較的ゆっくりな曲からから始まり、『七七日』、そして久々に聴いた『モー』。この改良版『モー』はイントロのギターリフがなんとも小憎たらしくてスキだ。曲が終わると、堰を切ったかのように、なんともゆるいグダグダトークが延々と続く。なんだかダラダラな感じになってきたところで、最早曲名を言っただけで盛り上がる『慰安旅行』、そしてハマケン作曲の新曲『菌』を演奏し、客席はヒートアップ。それにしてもこの新曲の『菌』はすごい好きで、最近はこの曲のギター・ベースユニゾンフレーズを耳コピ(耳記憶コピ?)するのが日課です。
ここですっかりおなじみとなったサポートゲストの野村卓史を呼び込む。かつては「サケロック関係のものを全部処分するくらい」険悪な仲であったことなど、すっかり感じさせない仲直りっぷり。そして星野リーダーがギターからマリンバにジョブチェンジしたところで『最北端』『テキカス!』『会社員』を演奏。…『テキカス!』のアレンジがまたかわってる!どこまでも曲を変化していくことを辞めないですね。あとやっぱり『会社員』は短い曲だからこそアガる。再びギターにジョブチェンジし、野村氏がサポート参加するようになってからは普通に完全版(イントロありバージョン)を聴けるようになった『インストバンド』が神々しく披露。野村氏がフレーズをオルガンで弾いたものだからよけいに神々しい感じだった。野村さん参加編成では最後となった『青葉コック』では野村+伊藤のグッドラックヘイワコンビが鍵盤と口笛でメロディを先行させていく。この曲も変化を辞めない曲。そんな野村さんは最近ご結婚されたそうで。おめでとうございます!この前の名古屋公演の翌日が結婚式だったそうな。そのため、公演後はお客さんに紛れてダッシュで新幹線の最終に乗り込んだそうな。お疲れ様です&お幸せに。
再び4人編成に戻ったところで、「伊藤大地の電車講座」というほのぼのトークを交えたところで『電車』(ラディカル・ホリデーから改名され、再び元の名前に戻ったものの、結局は『電車』に落ち着く)、『老夫婦』、『ちかく』、『今の私』。『ちかく』、久々に聴いたなー。そしてラストは恒例となった「浜野 vs 伊藤」対決を交えての『生活』。今回は浜野さん絶不調!なんとか盛り上げてキラーフレーズを出させようとする星野リーダーの期待を、大会場というプレッシャーと実妹宮崎吐夢氏が客として見ているプレッシャーから答えることができないその構図が、なんとも苦々しい感じでした。でも当然演奏は盛り上がった。
演奏終了後、鳴り止まない拍手の中、アンコールとして登場し演奏されたのは、うわ!久しぶりに聴いた!『選手』。演奏後再び袖へ消えるものの、再び鳴り止まない拍手。その中を参上したのは…「カシュー&ナッツ」!かつて下北沢シェルターでは「シェル&ター」という名前で演奏していた…というのを昔誰かのブログで読んだことがありましたが、その伝説の?即興歌バンド(ボーカル浜野、ギター田中、ベース伊藤、ドラム星野)が生演奏。中身は非常にくだらないのだけど、とりあえず伊藤名人がまさかチョッパーできるのが驚いたし、無表情ながらも膝で立ってギターソロを弾いた田中名人が面白かったです。あとドラム初心者丸出しの星野リーダーとか。そうそう!ドラム触ってたら4つ打ちやりたくなるよね!って感じで。あ、浜野さんの歌ってた内容は一切覚えていません。そんなことを覚えておくのがあまりにもバカバカしくて。わーわーと盛り上がったカシュー&ナッツ。みんななんか楽しそうにやってるなーとステージ上をぐるりと見渡すと、袖でステージやら客席やらをニコニコしながら撮影している女性カメラマンを発見。あれは…梅佳代だ!おお!その写真は見たい!何曲か演奏した後、カシュー&ナッツは去っていった。しかしそれでも鳴り止まないアンコールに、トリプルアンコール。最高潮に盛り上がって演奏されたのは『京都』。野村さんも参加していて、鍵盤ソロが非常にかっこよかったです。あと、このときは撮影係として山岸聖太氏がいたのと、袖でものすごくうれしそうなカクバリ社長がいたのが印象的でした。


なんだかわいわいと過ぎていった感じでした。ロキノンの即日レポを見ていて気づいたのですが、やっぱり、なかなか例を見ないライブですよね?インスト、ダラダラMC、奇妙な対決、即興…。この勢いがいったいどこまで行くのか、木陰で星飛雄馬の姉のように見守りたいと思います。


というか、すでに冬のワンマンの日程も出ちゃった!早いよ!

2008.12.25(木)心斎橋CLUB QUATTRO
2008.12.28(日)東京キネマ倶楽部(2days)
2008.12.29(月)東京キネマ倶楽部(2days)

年末にキネマ2Days。また凝った仕掛けをしてくるんだろうなー。