「Loser's Parade」

for さえない日々

MUDA/SAKEROCK

発売から10日くらい経ちましたが、ずっと頭の中でオートリバースしています。


SAKEROCKの出すアルバムは、見事に毎回特徴が違います。1stの「Life Cycle」では荒々しさとハマケンスキャットが目立っていて、2ndの「songs of instrumental」はインストバンドなのに唄が中心で、前回の「ホニャララ」はマリンバが際立っていました。ミニアルバムの「YUTA」や「慰安旅行」もそれぞれ雰囲気は全然違うし、サントラアルバムに関してはそれぞれの作品の色がやはり出ています。
そして今回の「MUDA」は、1曲目のイントロを聴いただけで分かるとおり、歪んだ音が全編に渡って使用されています。今までになくシリアスでソリッドでダイナミックで、っていう抽象的なカタカナが頭をよぎります。あれ、どうしたどうした!?なんだかえらい「ロック」じゃないですか!なんとなく「ロック」を否定して活動していた印象があったのですごくビックリしました。いろいろなインタビュー記事を読んだところ、「ホニャララ」リリース時に「若者の『脱・ロック』は『サケ・ロック』によって初めて明確に示された。」と細野晴臣さんに言ってもらえたおかげでこだわりを捨てることができたそうな。また、星野ソロを創り上げたことで「SAKEROCKはひねくれすぎて狭い印象がある」と客観的に感じ、シンプルに素直に作品を作ることを考えたこと、そして新しい楽器を購入したことから起こる初期衝動の復活がきっかけになったそうです。
テレキャスターシンラインを購入し、歪み系のエフェクターを使ってたらナンバーガールeastern youthAIR JAM系が好きだった高校生の頃に気持ちが戻った」ということと「4人だけでライブの勢いを含めるような作品を創り上げた」ということで、とても力強い曲群。だからと言って今までの作品と全く別物かって言うと全然そうではない。ギターがギャンギャン言ってるけど、やっぱりSAKEROCKの作品。いや、これってなんかすごくないですか。
それにしても今回は、特に田中馨作曲群がすごくツボ。特に『Hello-Põ』!なんなんですかこの曲!この中盤からのみんなが気が触れて暴れだすような展開!そして『Green Mockus』の突然の展開!元々変わった音楽が好きだという田中名人のプログレ魂に火がついた曲群に心を鷲掴されました。片や星野源作曲群のメロディの人懐っこさは相変わらずで鼻歌ですぐ歌えそう。タイトル曲の『MUDA』や最後の曲の『GUNPEI』は一緒に掛け声したくなるし、『Goodbye My Son』はどうやら高校生の時に作った歌詞あり曲が元になってるようで歌いたくなるし、『URAWA-City』や『HIROSHIMA NO YANKEE』のドタバタ感と『KAGAYAKI』のシンプルさも気持ちいい。そして第三のソングライター、ハマケンの『Wonder Moon』は元々バナナマンのライブで知っていたけど、もっと力強くてトロンボーンが力強く引っ張っていってる感じで他の2人の曲とはまた違う。途中にMoon繋がりで「荒城の月」の一節を入れちゃうあたりもニクい。
というわけで、ずっと頭の中でリピートしまくりなのです。今まで「SAKEROCKって、癒し系でほんわかしたインストバンドでしょ?」なんて先入観がある人こそ聞いてもらいたいです。『殺すな』や『菌』までテンポの速い曲はないですけど、そのうちライブでモッシュが起きるんじゃない?ってくらいに勢いで突っ走ってます。早くライブで全曲聴きたい!

B0045WCDZYMUDA
SAKEROCK
バウンディ 2010-12-08

by G-Tools
asin:B0045WCDZY


ところで、毎回手の込んだジャケットやブックレットを創るでお馴染みのSAKEROCKですが、今回はあまりにバカバカしいです。

なんと、ブックレットに2ページ、全面銀スクラッチ。MUDA過ぎる!

躊躇せずにどんどん削ってやりましょう。中からメッセージが現れます。このMUDAの快感を味わいたかったら中古で買おうなんて考えてちゃダメですよ!